「茶事とは、なんだろう?」「茶会とはちがうのだろうか?」 また、「茶事や茶会に参加することになったけど、どんな流れになっているのか?」 わかりませんよね。
じつは、茶事と茶会は、全くちがうものです。また、茶事の読み方も茶道の流派によっては変わります。
さらには、茶事や茶会のことを、あまり知らないのに、まねかれた場合は、「いったいどんなことをするのか?」心配になります。
そこで、このページでは、「茶事と茶会のちがい」についてご説明いたします。また、茶事や茶会は、どんな流れとなっているのかも解説いたします。
私は、京都で茶道の道具を20年以上作りつづけてきました。また、茶道を趣味として楽しんでいる人間としての目線で解説いたします。
茶事と茶会の違い:「茶事」はフルコースの茶会、「茶会」は略式の茶会
つぎに、「茶事」と「茶会」の違いです。茶事と茶会は、本来は同じ意味となります。
しかし、現在では「茶事」は、食事やお茶のお点前(おてまえ・茶をたてること)を含めたフルコースの正式な茶会となります。時間も4時間以上かけて、ゆっくりと行われます。
また、「茶事」は、知っている者だけの少人数をまねいて行います。
いっぽうで「茶会」は略式のスタイルとなります。お茶と和菓子だけでおもてなしする、気軽な集まりとなります。
そして、「茶会」では、大勢の客をまねいて行われるものとなります。
しかし、「茶事」と「茶会」も、いちばんの目的は「茶をおいしくいただく」ことなのです。この点では、「茶事」も「茶会」も同じといえます。
以上のように、「茶事」は、少人数で行う正式なフルコースの茶会です。そして、「茶会」は略式のものとなります。
では、「茶事」と「茶会」のちがいについて、もうすこし詳しくみていきましょう。
まず、「茶事」の大まかな流れは、以下のようになります。
1.茶の湯をわかすための炭にをつぎ足し
2.懐石(かいせき・食事のこと)をさしあげ
3. 濃茶(こいちゃ)をお出しして
4.さいごに薄茶をさしあげる
この一連の流れが「茶事」とよばれます。茶事は、茶の湯をわかすための炭火のつぎ足しから、食事、そして茶をいただきます。「茶事」は、いわばフルコースの茶会となります。
上記の「濃茶」と「薄茶」については、以下の記事をご参照ください。
そして、つぎの写真は、私が参加した「茶事」のものです。
写真のように、「茶事」では服装は女性も着物を着て参加します。着物は日本では正装(せいそう)だからです。着物がないのであれば、最低でもスーツを着て参加します。
そして、「茶事」にかかる時間は、4~5時間以上はかかるものとなります。だいたい朝10時に集まるとして、午後の3時まではかかるものとなっています。
たとえば、「茶事」は、いわばヨーロッパの晩餐会(ばんさんかい)とお考えください。
晩餐会の参加者は、ドレスやタキシードなどの正装で参加します。そして、豪華な料理やワインをそして、会話を楽しむのです。
また、さいしょに「茶事」のいちばんの目的は、「一服の茶を楽しむためにある」と申しました。晩餐会では、「ワインを楽しむために行われる」ところも似ています。
「茶事」について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
いっぽうで、「茶会」は、茶事にくらべて気軽なものです。
「茶会」では、たくさんの客をまねきます。そして、「茶会」は、茶事の一部である「濃茶」または「薄茶」の部分だけの略式のスタイルとなります。
また「茶会」は、「大寄せ」(おおよせ)とも呼ばれます。「大寄せ」とは、不特定のたくさんの客の集まる茶会だからです。
つぎの写真は、東京大茶会のものです。この「茶会」は、日本で最大級のお茶会なのです。
茶会は「大寄せ」といわれる。不特定のたくさんの客が集まる茶会。
東京の観光公式サイトGO TOKYO 東京大茶会2019 より引用
また、写真のように「茶会」では、服装も気軽なものでもかまいません。
そして、この「大寄せ」の茶会には、主に次の2つの種類があります。
- 点心(てんしん・軽い食事)と濃茶と薄茶をいただく茶会
- お菓子と薄茶だけのお手軽な茶会
つまり、どちらの「茶会」も、フルコースの茶会である「茶事」の一場面だけを切りとったものいえます。
茶事と茶会の違いををまとめると以下のようになります。
1.知っているものだけで少人数で行う
2.食事・お菓子・濃茶・薄茶のフルコースの茶会
3.全ての流れで4時間以上かかる
つぎに茶会についてです。以下のように、2種類の茶会があります。
1.大寄せといわれ、不特定の多数の客が参加する
2.点心という軽い食事とお菓子、濃茶の席と薄茶の席のある茶会
3.お菓子と薄茶の席だけのもっとも手軽な茶会
以上のように、「茶事」は、正式なフルコースの茶会です。また、「茶会」は略式スタイルの気軽な集まりとなっています。
このように、「茶事」と「茶会」は、ちがうものです。
しかし、「茶事」も「茶会」も、いちばんの目的は「一服の茶を楽しむ」ことは同じとなります。
この記事を書いている「京都はしもと製陶所」では、「橋本城岳」(はしもと・じょうがく)のブランドで抹茶碗を作っております。
当工房から直接、お客様にお届けしています。そのため、高品質な茶碗が2,500円から1万円までのお手頃な価格となっています。
よろしければ、京都はしもと製陶所サイトの「橋本城岳作の抹茶碗」のページも、ぜひご覧になってください。