茶会や茶事での服装のマナーは?京都の茶道具の陶芸家が解説!

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茶会や茶事(ちゃじ)にまねかれたけど、「いったいどんな服装で参加したらよいのか?・・・・・・」わかりませんよね。

また、服装以外にも、「身につけるアクセサリーについてのマナーは?」ということも気になります。

じつは、茶道には、最低限守るべき服装のマナーがあります。服装によっては、はずかしい思いをしてしまいます。

そこで、このページでは、茶会や茶事に参加するときの服装のマナーについて説明いたします。

この記事を読んでいただければ、茶会にまねいてくれた人や他の参加者からも、「あなたは、ちゃんとわかっている人だ」と思われるでしょう。

私は、京都で茶道具を専門に20年以上つくりつづけてきました。また、茶道の愛好者としての目線で解説いたします。

「茶会」は気軽な服装で、「茶事」は着物かスーツ

まず、冒頭にもでてきましたように、「茶会」と「茶事」では、意味も内容もまったくちがいます。そのため服装も変わってきます。

「茶会」は、お菓子とお茶だけをいただく気軽な集まりです。いっぽうで、「茶事」は、正式なフルコースの茶会となります。

「茶会」と「茶事」のちがいについては、以下の記事をご参照ください。

まず「茶会」に参加する場合の服装についてです。冒頭でお話しましたように「茶会」は気軽な集まりです。

そのため、服装も「茶会」では、茶事にくらべて気楽な格好でもかまいません。

以下の写真は、「茶会」のものです。


「茶会」は、服装にもキビしい決まりはない。

写真のように、客は、着物の人がおられますし、洋服で参加される人たちもいます。

しかし、「茶事」では、日本の正装である「着物」を着用するのが基本となります。また、洋服の場合であれば、男性も女性も「スーツ」などで参加されることをオススメします。

つぎの写真は、私が参加した「茶事」のものです。

私が参加した茶事の一例の画像
「茶事」は、正式な茶会。服装も「着物」や」スーツ」を着て参加するのが基本。

「茶事」について、くわしくは以下の記事をご参照ください。

「茶会」では、キチンとした清潔な服装で参加します。「茶事」では、着物またはスーツを着用しましょう。

着物がない場合は、着物のレンタルもございます。

レンタルの場合は、「着物レンタル 茶道 お住まいの地域名」で検索するとよいでしょう。以下のリンクは、着物レンタルの一例です。

着物レンタルの一例はこちら

寄付待合で着替えることもできる

正式な茶室で茶会が行われる場合は、「寄付待合」が用意されています。「寄付待合」とは、客が着替えをする「控えの部屋」のことです。

この「寄付待合」にて、身じたくを整えることができます。

寄付待合(よりつきまちあい・ひかえの部屋)の画像
寄付待合(ひかえの部屋)があれば、着がえることもできる。

また、ご自宅などで茶事や茶会では、「寄付待合」として控えの部屋が用意されます。

「寄付待合」では、茶会や茶事に不要な荷物をかたづけます。また、着物に着がえるなどの身じたくを整えることができます。

金属のアクセサリーははずしておく

身につけている金属のアクセサリーやカギなどを外しましょう。理由は、金属のもので、茶道の道具(茶碗など)をキズつけないためにです。

金属のアクセサリーを身に着けた女性の画像
金属のアクセサリーは、道具(茶碗など)をキズつけるので外しておく。

また、亭主(ていしゅ・まねいてくれた人)にたいして、「私は、あなたの大切な道具をキズつけません」という意思表示にもなります。

次の写真は、茶会や茶事のときに取り外しておくアクセサリーなどの一例です。

茶事や茶会で取り外しておく金属のアクセサリー類の画像
指輪や大きいネックレス・腕時計・カギなどは、はずしておくのが礼儀。

金属のアクセサリーなどは、盗難の心配のない「控えの部屋」がある場合は、そこに片付けておきましょう。ただし、盗難のおそれがある場合は、あなたのカバンの中にしまっておくことです。

アクセサリーをカバンにしまっておく画像
金属のアクセサリーなどは、バッグにしまっておきましょう。

また、カバンなどがない場合は、ポケットのなかにしまいましょう。

金属のアクセサリーをポケットにしまう画像
カバンがないときは、ポケットにアクセサリー類をしまっておきましょう。

以上のように、茶会や茶事に参加する際は、金属製のアクセサリーや、指輪、腕時計、そして、カギの類などは取りはずしておくのがマナーとなります。

大切な茶道具をキズつけないための、客のもつべき「心くばり」なのです。

茶会の服装のワンポイント:白い足袋か「白いくつ下」をはく

茶会や茶事に参加するときは、着物であれば「白い足袋(たび)」をはきましょう。洋服の場合は、「白いくつ下」を着用するか、または持参していきましょう。

「白いくつ下」をはく理由は、真っ白い汚れていない「くつ下」をはくことで、まねいてくれた人にたいする誠意を表すためです。

つまり、汚れのない白いくつ下をはくことで「私は、あなたの部屋を汚しません」ということは態度であらわす意味があります

洋服で茶会に参加する場合は、つぎの写真のように「白いくつ下」を着用します。

茶会で白い「くつ下」をはいている画像
茶会では、白い「くつ下」をはくのがワンポイントのマナー

また、茶事で着物を着用する場合は、かならず「白い足袋」(たび)をはくことが決まりとなっています。

白い足袋(たび)の画像
白い足袋やくつ下をはくことで、亭主にたいして、「私は、部屋をよごしません」という気持ちをあらわす。

反対に、「白いくつ下」ではなく、「黒いくつ下」だと、汚れているかどうかわからないからです。。

また、服装のコーディネートによって、「白いくつ下」をはいて行くのがイヤな場合です。

そんなときは、「白いくつ下」を持参していきましょう。そして、控えの部屋ではきかえるのです。ひかえの部屋がないときは、トイレなどで「白いくつ下」にサッとはきかえてもOKです。

以上のように、気軽な茶会であっても、「白いくつ下」を着用するのがポイントです。そうすれば、あなたは、茶道の心得のある人だと思われるでしょう。

お点前の最中は、スマホで撮影はひかえる

茶会でスマホや携帯電話をマナーモードにしておくのは当たり前のマナーです。

安全な「控えの部屋」があれば、電源を切って片付けておくのおきましょう。盗難のおそれのある場合は、ママナーモードにして持っておけばかまいません。

スマートフォンの画像
スマートフォンや携帯電話は、安全な「控え部屋」に片付けるか、マナーモードにしておきましょう。

また、茶会で写真をとりたい場合です。主催者の側から撮影を許可されている場合は、写真をとっても良いでしょう。

しかし、亭主がお茶のお点前(おてまえ・茶をたてること)をしている最中には、写真撮影をひかえるのがマナーとなります。

スマホで写真を撮っている画像
亭主がお点前の最中には、写真の撮影はやめておきましょう。

茶会は、茶を楽しむためにあります。写真を撮ることが目的ではありません。茶事や茶会は、静かなゆったりとした時間のなかで、お茶の味を楽しみましょう。

最低限、お手前の最中は撮影はひかえましょう。

また、それ以外のタイミンで写真をとる場合です。そのときは、ひとこと「写真をとっても良いですか?」と断ってから撮影するようにしましょう。

まとめ

以上、茶会や茶事での服装についてご説明しました。

服装によって、相手への誠意を示すことは大切なことです。

しかし、本来、茶会は「お茶を楽しむこと」が目的です。マナーの通りにまちがいなく行うことが目的ではありません。

そして、服装マナー以上に大切なことは、服装で誠意をあらわすことでありません。あなたが招いてくれた人にたいして誠意という気持ちを持つことのほうが大切です。

その点について、茶道の祖先である「千利休」に次のような話があります。

あるとき、千利休は茶事にまねかれました。

ところが、まねいた亭主は、とても緊張していました。お湯はコボすは、茶筅(ちゃせん・茶をまぜる道具)をヒックリ返すわ・・・・・・

その茶事の帰り道のことです。利休と同席した客が、「今日の亭主は最悪でしたね~」と笑いました。

しかし、利休は、「今日の亭主ぶりは天下一」と言ったそうです。

たしかに、亭主は、緊張でガチガチになってました。でも、それは一所懸命な心があったからこそです。

そして、利休はこう言いました。「あなたの目には、亭主の心づくしのしつらえや、準備が目に入らなかったのですか?」と

亭主の気持ちは、しっかりと利休に伝わっていたから、この茶事は「よい茶事」だったと言えるでしょう。

また、よい茶事では、亭主が伝えたいこと、見せたいものという目的がハッキリとしています。その目的を亭主と客のおたがいが、余計な説明をすることなく、おしはかり合うことが大切です。

このお話は、あなたが亭主ではなく、客であっても同じです。たとえ、あなたが茶会で緊張していても良いのです。

茶会でガチガチに緊張している画像
茶会でガチガチに緊張していても、誠意は伝わるもの。

初めての茶会でガチガチに緊張をしていてもによいのです。それは、あなたのマジメで、そして一所懸命だからです。その誠意はきっと相手にも伝わることでしょう。

また、本当によい茶事にするための「抹茶碗の選び方」について詳しい解説は、以下の関連記事を参照してください。

この記事では、茶事や茶会で、茶道の初心者の方向けに、本当に使いやすい抹茶碗の選び方を解説しています。

このページを読んでいただくと、使いやすく、そしてお客さまにも喜ばれる「抹茶碗の選び方」がわかるようになります。

あわせて、茶道でいうところの「本当のおもてなしとは何か?」についても解説させていただいております。

また、京都はしもと製陶所では、橋本城岳(はしもと・じょうがく)のブランドで抹茶碗を製作しています。

京都の清水焼の熟練の職人による、すべての工程が手づくりのものです。

「京都はしもと製陶所」では工房から直売となっています。ですので、高品質であっても低価格となっています。

よろしければ、京都はしもと製陶所の商品ページも一度ごらんください。

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この記事を書いた人

橋本城岳(じょうがく)

創業80年 京焼清水焼の窯元
三代目「橋本城岳」(じょうがく)
茶道具をメインに暮らしのうつわを作る。

令和4年 経済産業大臣指定工芸品
京焼清水焼「伝統工芸士」に認定

妻の内藤加奈子(作家名)も陶芸家。
京都の伏見稲荷の陶芸と和雑貨のお店「ギャラリーKACCO」(カッコ)を営む。