茶道の濃茶と薄茶の違いや使われる抹茶碗の違いを京都の陶芸家が解説

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茶道のお茶には、「濃茶」(こいちゃ)と「薄茶」(うすちゃ)の2種類があります。陶芸家の私でも、茶道の初心者のときには、知りませんでした・・・・・・

じつは、濃茶と薄茶では、「使う抹茶碗」も「茶葉の種類」もちがいます。

そこで、このページでは、濃茶と薄茶での「抹茶碗のちがい」と「茶葉の種類のちがい」についてご紹介します。

この2つの違いを知っておけば、間違えずに茶碗と茶葉を選ぶことができます。

私は、京都の陶芸家として20年近く、抹茶碗を作りつづけてきました。その職人の目線で紹介させていただきます。あなたにとって最適な抹茶碗を選ぶときに、お役立てください。

1.濃茶も薄茶も「茶事」の一部を切りとったもの

まず最初に、濃茶も薄茶も「茶事」(ちゃじ)の一場面を切りとったものとなります。

「茶事」とは、茶道で正式な茶会のことです。その「茶事」とは、いわばフルコースの茶会となります。

茶事については、くわしくは以下の記事をご参照ください。

薄茶も濃茶もどちらも、正式な「茶事」の一部を切り取った茶会、またはお稽古なのです。

茶道のおけいこやお茶会では、この茶事の一部である濃茶の作法だけを練習しているのです。また、薄茶の場面だけで、お茶会を楽しんだりということです。

そして、濃茶と薄茶では使われる茶碗や茶葉もちがいます。濃茶と薄茶のちがいは、以下のようになります。

濃茶と薄茶のちがい

1.使う茶葉がちがう

2.もちいる茶碗も変わる

3.使う茶筅(ちゃせん)もちがう

では以上のことを順番に説明していきます。まずは、濃茶と薄茶のお茶のちがいです。

1-1.濃茶は濃茶用の茶葉、薄茶は濃茶用と薄茶用どちらでもよい

ここでは、濃茶と薄茶の「茶葉のちがい」からご説明します。

「濃茶」は、その名のとおり、とても濃いお茶です。また、濃茶は、一般的には「おこい」と呼ばれます。

次の写真は、濃茶の写真です。

濃茶のお茶の画像
濃茶は、ネバりがあってツヤツヤしている

濃茶では、とても濃厚な茶をいただきます。理由は、食後に飲むお茶だからです。

たとえば、洋食のコース料理を食べたあとにエスプレッソの濃いコーヒーを飲む習慣があります。すると、お腹が落ちつくのと同じとお考えください。

まて、濃茶では、お茶をいれることを「茶を練る(ねる)」と言います。その濃さから、まさに「練る」という感じになります。

それから、濃茶で使う茶葉は、品質の高い濃茶用のものを選びましょう。

濃茶は、とても濃いお茶です。そのため質の低い茶葉だと、味がシブくなりすぎます。ですので、香りと甘味ををもった良い品質のものを選びましょう。

濃茶は、甘味があります。ただしシブ味の中に、わずかに甘みがあるというものとなります。

濃茶用の茶葉の選び方についてです。

濃茶用の茶葉では、商品名に「昔」(むかし)とついていることが一般的です。

たとえば、濃茶用の商品名は、以下のようになります。

濃茶の商品名

・「平安の昔」(へいあんのむかし)
・「万丈の昔」(ばんじょうのむかし)

このように、「昔」とつきます。

また、濃茶用の抹茶を薄茶に使うのはかまいません。理由は甘味があるからです。薄茶でもちいても、甘味のあるお茶の味を楽しめます。

反対に、薄茶用の茶葉を濃茶に使ってはいけません。

薄茶用の茶は、シブ味があるからです。濃茶で用いるとシブ味が強すぎて飲みにくくなります。

いっぽうで、「薄茶」は、その名のとおり「うすいお茶」です。

以下の写真は、薄茶のお茶です。

薄茶のお茶の画像
薄茶は、泡だちがありサラりとしている

薄茶は、茶事の最後にいただくものだからです。また、茶会では、和菓子の薄茶だけとなります。

そのため、サラリと薄いお茶が合います。

薄茶をたとえると、軽食には薄いアメリカンコーヒーが合うといった感じでしょう。

また、薄茶は、一般的には「おうす」と呼びます。「おうすをいただく」などと言います。

薄茶でもちいる抹茶は、濃茶よりも品質や価格が1つ下になります。薄茶で使う茶葉は、少々シブくてもよいからです。

しかし、茶葉の作り方そのものは、濃茶も薄茶も同じです。

石うすで茶葉を引いている画像
濃茶も薄茶も茶葉の作り方は同じ

薄茶用の茶葉を購入するときでは、名前に「白」(しろ)とつくのが一般的です。

たとえば、薄茶の茶葉の商品名は、以下のとおりになります。

薄茶用の茶葉の商品名

・「精華の白」(せいかのしろ)
・「山月の白」(さんげつのしろ)

以上のように、商品名に「白」とつきます。濃茶では、「昔」でしたね。

薄茶の場合は、「茶を点てる(たてる)」といいます。

お茶の表面を泡(あわ)をたてるように作ります。この泡によってクリーミーな味を楽しめます。

カジュアルな茶会では、抹茶の泡のクリームとシブ味のあるサラリとした薄茶が甘いお菓子と合います。

薄茶とお菓子の画像
シブ味のあるサラリとした薄茶は甘いお菓子に合う

1-1-1.購入する茶葉の分量は40グラムで棗が満タン

抹茶の茶葉は、20グラムや40グラムという量で販売されていることが多くなっています。

これは、茶葉40グラムで、「棗」(なつめ)が満タンになるからです。棗(なつめ)とは、茶道で用いる抹茶の粉末の入れものです。

つぎの写真は、棗の一例です。

棗(なつめ)と茶葉の画像
抹茶の粉末の入れものの「棗」(なつめ)は、茶葉が40グラムで満タン。

ですので、棗にいっぱいに購入したいときは、40グラムをお選びください。少なくなった茶葉をつぎ足す場合は、20グラムでOKです。

また、茶葉の味をためしたいときは、20グラムを購入すればよいのです。

1-2.濃茶は格の高い抹茶碗、薄茶では、お好みの茶碗をつかう

濃茶と薄茶の茶会で、もちいられる抹茶碗のちがいについてご説明します。

まず、「濃茶」の茶会では、「格」の高い抹茶碗を用いるという決まりごとがあります。濃茶は、格式の高い正式な茶会だからです。

格の高い抹茶碗は、格の高いものから以下のようになります。

茶碗の格の順番

1.楽焼(らくやき)
2.萩焼(はぎやき)
3.唐津焼(からつやき)
4.および、井戸茶碗(いどちゃわん)

以上のことを「一楽・二萩・三唐津」(いちらく・にはぎ・さんからつ」と呼びます。

濃茶では、この中から選びましょう。

次の写真は、楽焼・萩焼・唐津焼の抹茶碗の一例です。

楽焼・萩焼・唐津焼の抹茶碗の画像
濃茶は格の高い茶碗を用いる。1番は楽焼、2番は萩焼、3番は唐津焼

濃茶の茶会でもちいる茶碗は、写真のように基本的には無地のものとなっています。

これは、濃茶の茶会は、正式な茶会であるからです。

格式高い茶会のため、「ムダな会話をつつしむ」という決まりごとがあります。それで絵のない無地の抹茶碗が選ばれます。

この、4つの格の高い抹茶碗について、詳しい解説は以下の記事を参照してください。

いっぽう、薄茶の茶会では、格の上・下に関係なく茶碗を選んでもよいのです。薄茶の茶会は、茶道では、カジュアルな茶会ということだからです。

以下の写真は薄茶に用いる抹茶碗の一例です。

薄茶用の絵柄のある抹茶碗の画像
薄茶では、絵柄のある茶碗でOK

薄茶では、写真のように絵柄のある茶碗を使ってもよいのです。絵のついた抹茶碗をもちいると、お茶会で、その茶碗についての会話がはずみます。

薄茶の茶会では絵柄のついた茶碗をもちいて会話を楽しみましょう。そして、濃茶では格の高い茶碗から選んでください。

1-3.濃茶の抹茶碗のサイズは大きめ、薄茶では小さめ

つづいて、濃茶と薄茶での抹茶碗のサイズについて解説いたします。

濃茶の茶会では、大きめのサイズの抹茶碗を用います。1つの茶碗で、2~5人で回し飲みをするからです。

1つの茶碗でまわし飲むことで、みんなが心を通わせることができるのです。

濃茶の茶会では、1つの茶碗で回し飲みする画像
濃茶では、1つの茶碗を数人で回し飲みする

いっぽう、薄茶では、1人が1つの抹茶碗でお茶をいただきます。そのため、小さめのサイズの茶碗を選びます。

薄茶の茶会の画像
薄茶は、1人が1碗で茶をいただく

そして、薄茶の茶会では会話をしてもかまいません。茶会でもちいた茶碗についてや、その他の道具、頂いたお菓子などの会話を楽しみましょう。

1-4.濃茶は「厚み」のある抹茶碗、薄茶は「厚みうすい」もの

さいごに、濃茶と薄茶でもちいる抹茶碗の「厚み」のちがいをご紹介します。

濃茶では、厚みのある茶碗が適しています。濃茶に、もちいるお湯は、熱湯だからです。そのため、茶碗に厚みがあるほうがよいのです。

次の写真は、濃茶に適している茶碗の一例です。

この茶碗は、楽焼(らくやき)と呼ばれる種類のものです。大ぶりのサイズで茶碗にぶ厚くなっています。

濃茶用の楽茶碗の画像
濃茶は熱湯で練るため厚みのある抹茶碗がよい

つぎに「薄茶」でもちいる茶碗です。

薄茶では、「厚みのうすい」抹茶碗を使ってもよいのです。薄茶に使う「お湯」は、すこし冷ました湯を使うからです。薄茶もちいに湯は80度くらいになります。

以下の写真は、薄茶用の抹茶碗です。厚みがうすく軽いつくりとなっています。

厚みの薄い抹茶碗の画像
薄茶は冷ました湯で点てる。薄手の抹茶碗でもよい

濃茶は、厚みのある抹茶碗を使いましょう。そして、薄茶では、厚みのうすい茶碗を用いてもかまいません。

このように、茶会のちがいによって使われる抹茶碗も変わります。さらには、抹茶碗のカタチや絵柄のちがいによって飲みやすさやお茶の点てやすさも変わってきます。

そこで、薄茶の茶会で用いられる「抹茶碗の選び方」については以下のページを参照してください。

この記事では、抹茶碗の選び方についてプロの陶芸家がわかりやすく解説しおります。あなたが抹茶碗選びに失敗しないために、ぜひ参考にしてください。

茶筅の穂数は、濃茶は80本立て、薄茶は100本立て

「茶筅」(ちゃせん)も 濃茶と、薄茶ではちがいます。茶せんとは、抹茶を混ぜるときにつかう「竹の道具」のことをいいます。

見こみの広い茶碗と茶せん
「茶せん」は、濃茶は80本立て、薄茶は100本立て

そして、一般的な茶せんの「穂数」(ほすう・穂先の数)は、「80本立て」と「100本立て」となっています。

「80本立て」と「100本立て」の違いは、以下のとおりとなっています。

  • 80本立ては、濃茶用
  • 100本立ては、薄茶用

となっています。

薄茶用が「100本」と多いのは、薄茶では、抹茶を泡立てるからです。ですので、薄茶をまぜることを茶を「点てる」(たてる)といいます。

茶せんでお茶を点てる画像
薄茶は、泡立てるので100本立てを使う

反対に、濃茶では、「80本立て」以下の穂数(ほすう)の少ないものをもちいます。濃茶は泡立てないからです。

そのため、濃茶では、茶を「練る」と言います。

茶筅を選ぶときは、濃茶は「80本立て」、薄茶用は、「100本立て」を購入しましょう。

まとめ

以上のように、濃茶も薄茶もフルコースの茶事の一部となっています。

茶道のおけいこや茶会では、茶事の濃茶のところだけ切りとって練習したり、薄茶の場面だけでお茶会を楽しんだりしているということです。

それでは、濃茶と薄茶の茶会のちがいをまとめます。

濃茶と薄茶の茶葉のちがい

・濃茶の茶葉は、濃茶用を用いる。
・濃茶用は、商品名に「昔」とつく(例・平安の昔)
・薄茶の茶葉は、濃茶・薄茶用どちらでもよい。
・薄茶用は、商品名に「白」がつく(例・精華の白)

濃茶と薄茶の抹茶碗のちがいは、次のようになります。

濃茶と薄茶の抹茶碗のちがい

①濃茶では、格の高い抹茶碗から選ぶ
②薄茶では、お好みの茶碗を用いてよい

④濃茶と薄茶用の抹茶碗を選ぶポイントは、以下のとおりです。

濃茶の抹茶碗

①格の高い抹茶碗を選ぶ
②大きめのサイズ
③茶碗に厚みがあるもの

薄茶の茶碗の場合は、

薄茶の抹茶碗

①お好みの茶碗を用いてよい
②小さめのサイズの茶碗
③厚みのうすいもの

濃茶と薄茶の茶筅のちがい

①濃茶は「80本立て」を選ぶ

②薄茶は「100本立て」を用いる

以上が、濃茶と薄茶のちがいとなっています。

そして、京都はしもと製陶所では、すべての工程が手づくりの抹茶碗を製作しています。

京都の清水焼熟練の職人によるものです。

また、窯元から直売ににお客様にお届けしています。そのため、高品質であっても低価格となっています。

よろしければ、京都はしもと製陶所の抹茶碗の商品ページも一度ごらんください。

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この記事を書いた人

橋本てつじ

京都府陶磁器協同組合青年部副会長。京都で創業70余年の清水焼の窯元の三代目の職人。私のフェイスブックやインスタグラムもぜひ見てくださいね!