抹茶碗を自分用やプレゼントに選ぶとき、「どういう基準で選んだらよいのか?」わかりませんよね。
じつは、抹茶碗の選び方には、茶道の決まりごとがあります。
さらに、抹茶碗には、さまざまなカタチや種類があります。
カタチや種類で、お茶のまぜやすさや、お茶のおいしさも変わるのです。
さらに、茶道の初心者と上級者では、選ぶべき茶碗も違います。
選び方によっては、練習のしやすさや茶会での使いやすさまで変わります。
そこで、このページでは、茶道の初心者の方や、ご存じない人に、抹茶碗の選び方をご紹介します。
抹茶碗の選び方には、たくさんの決まりがあります。
しかし、すべての決まりごとは、お客さまへの「心くばり」になるかどうかの1点が基準となります。
その基準さえわかれば、初心者の方でも、抹茶碗の選び方が理解できます。
見せかけではない「真のおもてなし」も、わかるようになります。
そうなれば、お客さまの、あなたへの印象もグッと良くなるでしょう。
私は、京都の陶芸家20年近くにわたり抹茶碗を作り続けてきました。
熟練の職人の目線で「抹茶碗の選び方」を解説します。
あなたにとって、お客さまにとっても、適切な抹茶碗選びにお役立てください。
1.初心者は、使いやすい形の抹茶碗を選ぼう
抹茶碗は、おいしいお茶を点てる(たてる)ことができるものを選ぶことが、もっとも大切です。
なぜなら、茶会は、茶碗の品評会ではないからです。
お茶会は、おいしいお茶と和菓子、そして、会話を楽しむものです。
ゆったりとしたムードで、お客さまと「楽しいひととき」をすごすためにあります。
![茶会はでお茶を楽しむ女性の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/5ec9dda3f6610d09c198bd66cecf8498.jpg)
使いやすい抹茶碗ならば、リラックスしておいしいお茶を点てることができます。
そして、そのお茶会が、あなたにとっても、お客さまにも、きっと良い茶会になるでしょう。
茶会には、抹茶碗を見て楽しむことも含まれます。
しかし、茶会のいちばんの目的は、「お茶をおいしく飲むためにある」ことを忘れてはいけません。
抹茶碗は、美味しいお茶を点てやすいものを選ぶことが大切です。
そのため、抹茶碗の選び方は、お客さまへの「心くばり」で決まります。
薄茶用(うすちゃ)と濃茶用(こいちゃ)では使われる茶碗に種類がちがいます。
しかし、使いやすい茶碗の考え方は基本的に同じです。
薄茶と濃茶のちがいについては、以下の記事を参照してください。
2.抹茶碗の形の選び方:5つのポイント
茶道の初心者のあなたが抹茶碗を選ぶときには、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
1.抹茶碗の形は、「見込み」が広いものを選ぶ
2.茶碗の表面は、ザラザラ・ボコボコ・ツルツルはダメ
3.茶碗のサイズと重さは、片手で持ちやすいもの
4.高台が安定する茶碗が、たおれにくい
5.茶碗の正面がわかりやすいものを選ぶ
抹茶碗の形には、さまざまな種類があります。
茶碗の形状によっては、「お茶を点てやすい茶碗」と「点てにくいもの」があるのです。
茶を点てやすい茶碗の形だと、抹茶と湯をうまく混ぜることができます。
上手に点てれば、「こまかな泡」ができます。
すると、「苦味」がやわらいで「甘味」のあるクリーミーで美味しい抹茶ができるのです。
![細かい泡のある美味しそうな抹茶](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/de7e19acd5d396a8cd2c2be3863806b1.jpg)
おいしいお茶を点てるには、経験や技術も大切です。
しかし、初心者の方にとっては「お茶を点てやすい形の抹茶碗の選ぶこと」が、まずは大事なこととなります。
ここでは、お茶を点てやすい抹茶碗の形を説明していきます。
茶碗の選び方には、5つのポイントがあります。
以下の、5つのポイントさえ押さえておけば大丈夫です。
しかし、選び方の最も大切な基準は、ただ一点です。その一点とは「お客さまへの心くばり」になります。
それを肝に命じてください。
以上のことを、順番に説明していきましょう。
2-1.抹茶碗の形は、「見込み」が広いものが茶をまぜやすい
まず1つめは、抹茶碗のカタチは、茶碗の「見込み」(みこみ)が広いものを選びましょう。
「見込み」とは、茶碗の底から中ほどまでの広さで、「茶碗の胴体」の部分です。
つぎの写真の、赤でかこった部分が「見込み」となります。
![抹茶碗の「見込み」の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/bb678022df027117686da6d21c7a01e5-500x375.jpg)
この「茶碗の見込みが広い」ことが大切です。
「見込み」が、広いとお茶を混ぜるときに、「茶せん」(ちゃせん・お茶を混ぜる道具)を振りやすいからです。
茶碗の見込みの広さが、「抹茶碗」と「ご飯茶碗」の大きな違いです。
この「見込み」の部分を、茶道では「茶筅摺り」(ちゃせんずり)ともいいます。
茶筅(ちゃせん)が当たる部分だからです。
そして、茶筅を振りやすいと、おいしい茶を手ぎわよく作ることができます。
![茶筅を振りやすい形の抹茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/198d44021ad90d94d2afc68fce0b9481-500x334.jpg)
ところが、「見込みが小さい茶碗」は、「茶せんを振りにくく」なります。お茶がうまく混ざりません。
茶をうまく点てられないのです。
一例をあげますと、ご自宅に抹茶碗をお持ちでない場合です。
たとえば、「ごはん茶碗」を「抹茶碗として代用」することがあります。
しかし、ごはん茶碗は、「見込み」がせまいです。ごはん茶碗は、底の方が細く小さく作られています。
そのため、茶筅を振りにくく、茶を点るのが難しいモノとなります。
たとえば、この茶せんをふりにくい抹茶碗として、「筒茶碗」(つつちゃわん)があげられます。
筒茶碗は、筒のように細い茶碗です。茶道では真冬に使われる茶碗です。
カタチが細いため、茶が冷めにくいから冬に使われます。
つぎの写真は、筒茶碗の一例です。
![筒茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/852b2d490134c205d4c197b793e71c3a-500x332.jpg)
ただし、この「筒茶碗」を初心者にはおススメしません。
理由は、お茶をまぜにくいためです。茶碗のカタチが細く、お茶を混ぜるための「茶せん」を回しづらいです。
さらに筒茶碗は、茶を点てるときに安定しません。細いカタチのため、手で固定しにくいからです。
タタミの上では、さらに茶を点てにくくなるでしょう。
次の写真は、筒茶碗で「茶せん」を振っている様子です。
![筒茶碗で茶を点てている画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/5f1f91277109414a726b182c0b4f66c8-500x332.jpg)
以上のことから、抹茶碗を選ぶときには、茶碗の「見込み」が広いものにしましょう。
つぎの写真は、「見込み」が広い茶碗の一例です。
![「見込み 」が広い形の茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/652c250abd9649f192d34fee3185f7e3-500x332.jpg)
このように、「見込み」が広いと「茶せん」をふりやすくなります。
そうすれば、お茶を手ぎわよく混ぜることができます。
初心者の方は、「見込み」の広いカタチの抹茶碗を選らびましょう。
2-2.表面の素材は、ザラザラもツルツルすぎるのもダメ
抹茶碗の表面の素材は、ザラザラしたものやツルツルすぎるものは、やめておきましょう。
そのような素材では、抹茶の粉末とお湯がよくまざらないからです。それでは、おいしいお茶を点てられません。
お茶をまぜにくい素材は、以下のようなものになります。
1.素材がザラザラしている抹茶碗
2.表面がボコボコしているもの
3.素材がツルツルすぎる茶碗
まず、一つめは、「表面の素材がザラザラ」している茶碗です。
ザラザラしていると、「茶筅」(ちゃせん・お茶をまぜる道具)の穂先がひっかかります。
そのため、「茶葉の粉末」がうまく混ざりません。
![茶せんでお茶を点てる画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/1d2a120cd40da67f0db354298d32e4e3.jpg)
たとえば、ザラザラした素材には、「うわぐすり」のない素材の茶碗があります。
「うわぐすり」とは、茶碗の表面のツルツルしたガラス状のコーティングのことです。
つぎの写真は、ザラザラした素材の茶碗の一例です。
![「うわぐすり」のないザラザラした素材の茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/bd921e4bfa3fb7fb47009a6e30eefd8d-500x337.jpg)
写真の茶碗は、「備前焼」(びぜんやき)と呼ばれる種類の茶碗です。
この種類の茶碗は、表面に「うわぐすり」がありません。「荒い土そのものが表面」となっていてます。
そのため、すごくザラザラしています。
ザラザラすぎる表面は、茶せんがひっかかります。そのため、茶を混ぜにくくなります。
ただし、備前焼はとても魅力的な茶碗です。
かの北大路魯山人も究極的には備前焼にたどりつきました。
北大路魯山人とは、陶芸家・美食家として歴史に残る大家です。
備前焼の抹茶碗は、茶道に慣れてからお使いください。
つづいて、「表面がボコボコの茶碗」です。
表面がボコボコの茶碗は、茶を点てるときに茶せんがボコボコした表面にひっかかります。
そのため、初心者には、茶をたてにくいものとなります。
つぎの写真は、表面がボコボコしている抹茶碗の一例です。
茶碗と表面がボコボコだと、初心者には茶をたてにくい。
山口県立萩美術館 陶芸コレクション より引用
この茶碗は、重要文化財に指定されているような「名品の抹茶碗」です。
しかしながら、このボコボコした表面に「茶せん」がひっかかります。そのため、茶道初心者には、オススメできません。
表面ボコボコの茶碗は、「茶道上級者向けの茶碗」と言えます。
ちなみに、このボコボコの表面は「梅花皮」(かいらぎ)と呼ばれるものです。
「かいらぎ」とは、梅の花のカタチのような魚の鱗(ウロコ・表皮)ことです。
梅の花のようなウロコであるから「梅花皮」(かいらぎ)です。
このボコボコした抹茶碗は「萩焼き」(はぎやき)の一種です。
山口県の萩焼は、江戸時代から続く「茶陶」(ちゃとう・茶道のための陶磁器)の名産地です。
梅花皮(かいらぎ)のような表面がボコボコした茶碗も、茶道に慣れてからお使いください。
いっぽうで、「ツルツルすぎる素材」の抹茶碗です。
ザラザラとは反対に、表面がツルツルすぎると、茶せんの先がスベってしまいます。お茶が、うまくまざらずに苦労します。
お客さまの前でお茶が上手にまぜられないと、とてもアセります💦
たとえば、ツルツルすぎる素材のものでは、「磁器」(じき)の茶碗があげられます。
つぎの写真は、「磁器」の抹茶碗の一例です。
![表面がツルツルした磁器の抹茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/40933f3d20f767c04e799a1f3f3ecf43-500x332.jpg)
この磁器の茶碗も、茶道になれている人向けとなります。
反対に、「お茶をまぜやすい素材の茶碗」の例をお見せします。
一般的には、「陶器」(とうき)と呼ばれる素材です。
陶器は、以下の写真のようなものになります。
![ザラザラすぎない陶器の素材の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/0531556385dc23e415a1273daca26b4a-500x332.jpg)
茶をまぜやすい。
陶器のなかでもザラザラでもなく、ツルツルすぎでもないもがおススメです。
![ツルツルすぎない陶器の抹茶碗の素材の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/08f62f2b4f7fef22d051b148404547b7-500x332.jpg)
茶をたてやすい
抹茶碗の表面素材は、「ザラザラすぎる」「ツルツルすぎる」ものは、やめておきましょう。
2-3.抹茶碗のサイズと重さは、片手で楽に持てるものがよい
つぎに、抹茶碗のサイズと重さです。これは、あなたの片手で、楽に持てるものにしましょう。
茶道では、茶碗を片手で持たなければならない動作があるからです。
その動作とは、抹茶碗を洗った水を「建水」(けんすい・水を捨てる入れもの)に捨てるときです。そのときに、茶碗を片手で持たなければなりません。
つぎの写真は、片手で茶碗をもつ場面です。
![抹茶碗を片手で手に持っている画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/89c735950d632a3eae8ea27cc46e79ad-500x386.jpg)
このとき、片手で持ちにくいサイズと重さであれば、茶碗を落としてしまうことがあります。
私も、茶碗を落としそうになり、「ヒヤリ💦」とすることが何度かありました。
ですので、抹茶碗は、片手で持って余裕のあるサイズと重さにしましょう。
ただし、「軽すぎる抹茶碗」も良くありません。
軽すぎる茶碗は、厚みがうすいからです。厚みがないとお茶の熱で、お客さまが茶碗を持ちづらくなります。
![熱くなった茶碗を持って困る女性の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/c87ddf3d0d1b5dd9cc93094d4b1aec02.jpg)
薄茶では、少し冷ましたお湯を使います。それでも、湯の温度は80度くらいになります。
ここでも、お客さまへの「心くばり」に気をつけましょう。
また、軽すぎる茶碗は安っぽさを感じさせます。
手にとったときに、「しっくりくる重み」があることで、「茶碗の存在感」を感じることができます。
お店で購入する際には、実際に手にとって「重み」を感じてみて下さい。
ネットで購入するさいは「レビュー」を参考にすると良いでしょう。
また、抹茶碗のメーカーが「茶道具専門の窯元」であることや「抹茶碗を数多く作っている作家やメーカー」であることも確認してみましょう。
以上のことから、抹茶碗のサイズと重さは、片手で楽に持てるサイズと重さのものを選びましょう。また、厚みがうすい茶碗も、やめておきましょう。
2-4.高台が安定するものが、たおれにくい
つづいて、抹茶碗の「高台」(こうだい)についてです。
高台(こうだい)とは、茶碗の足に当たる部分のことです。
高台は、しっかり安定するものを選んでください。
以下の写真の、赤でかこんだところが茶碗の「高台」です。
![抹茶碗の高台の拡大画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/09a8f86a19c5a679ddb2580f748281f3-500x667.jpg)
この高台が安定しないと、茶碗がガタガタゆれて、お茶を点てにくいのです。
また、お客さまにも、「茶碗をたおしてしまわないか?」という、いらぬ気づかいもさせてしまいます。
さらには、「タタミの上」であれば、なおさら安定しません。
![タタミの上に置かれた抹茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/00deeabdc07aa52362d41ff917190223.jpg)
安定する高台がよい
まず、「悪い高台の例」をみてみましょう。
選んではいけない高台としては、以下のものがあります。
1.高台がゆがんでいるもの
2.高台が細すぎる茶碗
3.高台が小さい
このような高台では茶碗は安定しません。そのため、お茶を点てにくくなります。
また、お客さまにとっも、茶碗をたおしてしまうないか?
と、いらぬ心配をさせてしまいます。
つぎの写真は、「ゆがんでいる高台」の一例です。
![高台がゆがんでいる抹茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/5c62072f86d1f4ff6ac236fc52277e9c-500x332.jpg)
つぎの写真は、「高台が細すぎる茶碗」の一例です。
高台が細くて小さいと倒れやすい。
ピンタレスト 黒釉十草抹茶碗 より引用
こんどは反対に、「よい高台」を説明していきましょう。
良い高台とは、以下のようなものです。
1.高台の大きさしっかりとある
2.高台に、ゆがみなく安定している
3.片手で持ちやすい高台
このような高台であれば茶碗が安定します。お茶も点てやすくなります。
また、お客さまにも、茶碗を倒してしまう不安もへるでしょう。
つぎの写真は、「よい高台」の一例です。高台がある程度大きいほうがよいです。
![適度な高台の大きさの抹茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/9fc8b8c787694d5c56d2c7c10a04e22b-500x332.jpg)
また、つぎの写真は、「高台にゆがみがない」茶碗の例です。
![高台にゆがみのなく安定した抹茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/69478f15699b8d6a625407d3e8a039b6-500x332.jpg)
以上のように、抹茶碗の高台は、しっかりと安定するものを選びましょう。
ここでも、お客さまにも、「いらぬ気づかい」をへらしてあげましょう。
また、次の記事では、初心者が選んではいけない抹茶碗を解説しています。
この記事とあわせて参照してください。
2-5.抹茶碗の色や絵は、正面がハッキリわかるものを選ぶ
抹茶碗は、「正面」(しょうめん)がハッキリとわかるものにしましょう。
じつは、抹茶碗には「正面」(しょうめん)があります。
以下の写真は、「茶碗の正面」を説明したものです。
![抹茶碗の正面の位置を示した画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/ff6fde3dd128f44d4143c4a1fb2bf370-500x332.jpg)
このように、抹茶碗を裏から見ます。そこには、茶碗をつくった人の「印」(いん・ハンコ)があります。
そのハンコの文字を読める方から茶碗を見ます。
この場合、ハンコは「城岳」(じょうがく)とタテに読むことができます。
ハンコの上がわの面が、「正面」という決まりごとになります。
なぜなら、「正面」は、茶碗のカタチや絵がもっとも美しく見える面だからです。
ただし、この 「正面」についてはハッキリとした決まりごとはありません。
茶碗の持ち主が、その茶碗の「良いな」と思う面を正面としてもよいのです。
茶会では、正面をお客さまに向けて、さし出します。これが、客にたいする「心くばり」だからです。
![亭主が抹茶碗の正面を客に向けて出す画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/11430e71ebc47641ae7d7502a1bc2e79.jpg)
逆に、客は茶碗の正面に口をつけて茶を飲んではいけません。
「茶碗正面に口をつけない」ことが、お茶を点ててくれた人への「心くばり」だからです。
![客が抹茶碗の正面には口をつけずに茶を飲んでいる画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/07857540ad8c0b253bc2260bfeba5971-300x200.jpg)
茶道では、このような決まりごとがあります。
そのため、茶碗は正面がハッキリとわかるものを選びましょう。
そうすれば、どの向きで客に茶碗をさし出せばよいか、すぐにわかるからです。
また、お客さまにとっても、口をつけるところが、わかりやすくなります。
まず「正面がわかりにくい茶碗」の例からご紹介しましょう。
正面がわかりにくい抹茶碗には、色が「無地(むじ)で一色の茶碗」があげられます。
つぎの画像は、無地一色の茶碗の一例です。
![無地で正面が分かりづらい抹茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/488b14f216996cc8b6794ec32a282b6d-500x332.jpg)
このような無地の抹茶碗を用いるとしたら? どうでしょうか?
茶碗を清めているときや、茶を点てているうちに、どこが正面??💦
茶碗正面が分からなくなります。
とくに、茶碗を清めるときにわからなくなりがちです。
茶道では、客に茶をたてる前に、茶碗を茶巾(ちゃきん)でふいて清めます。
茶巾とは、茶碗を洗うための布のことです。
その清める時に茶碗を何度も回転させているうちに、どこが正面か?
わからなくなってしまいます。
つぎの写真は、私が茶碗を清めている画像です。
![筆者が茶碗を回して清めている画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/c64556607b14002457710fc9369c98e1.jpg)
正面が分からなくなる!
じつは、この写真で、茶碗を清めたあと、私は正面がわからなくなりました。
その後、私は先生にお叱りをうけることとなります💦
また、正面がわかりにくい茶碗を使って、正面がわからなくなったことが、たびたびございました。
そのときは、正面がわからないまま、茶碗をお客さまに出してしまいました。
とてもアセる瞬間です😅
![亭主が正面が分からなくなった無地の抹茶碗を差し出す画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/d7cc967f7159b84973b165f6ef6477ee.jpg)
反対に、お客さまは正面をさけて茶を飲みます。
そのため、茶碗を何度か回します。そのうちに、正面がわからなくなることがあります。
![客が抹茶碗の正面がわからないまま茶を飲む画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/f9ea407e620093e3205ab169b4b8e96e.jpg)
どこから飲んだらいい??
茶会は、いつもより緊張するものです。
たとえ、友人だけの気軽な会であってもです。初心者ならば、なおさら緊張するでしょう。
ここでも、お客さまに余計な緊張を与えない「心くばり」が大切です。
以上のことから、抹茶碗は、正面がハッキリとわかるものを選びましょう。
正面がわかりやすい茶碗とは、以下のようなものです。
1.無地の抹茶碗では、正面の色がちがう茶碗
2.絵柄の茶碗なら、正面にメインの絵があるもの
まず一つめ、「無地の茶碗」の場合です。
茶碗正面の色あいが、ちがう茶碗だとわかりやすいです。
つぎの写真は、「無地でも正面がわかりやすい茶碗」の一例です。
![無地でも正面の色が違う抹茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/348158ddb1075a032a916d88a51fe55e-500x332.jpg)
2つめは、「絵柄のある茶碗」の場合です。
これは、「茶碗正面に大きな絵がある」と、正面がハッキリわかるからです。
つぎの写真は、「メインの絵柄が正面にある茶碗」の一例です。
![メインの絵が正面にある抹茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/09/ad8704e2470f0b24af83bb7d2d4cbc34.jpg)
抹茶碗は、「正面」がハッキリとわかるものにしましょう。
とくに初心者の方には、正面にメインとなる絵柄のある抹茶碗はおススメです。
抹茶碗の色や絵柄の選び方でも、お客さまへの「心くばり」が大切です。
正面がわかりやすい茶碗を選ぶことも、お客さまに余計な心配をさせない気配りとなります。
なおかつ、茶碗の色や絵柄で「お客さまの目を楽しませること」が大切なポイントになります。
以上の抹茶碗の選び方の5つのポイントを押さえおけば、基本的には大丈夫です。
抹茶碗の選び方の「もうひとつのポイント」は、「茶碗の飲み口」のカタチです。
「飲み口」の形状については、以下の記事をご参照ください。
この記事では、抹茶碗の「飲み口」のカタチについてご説明しています。
飲み口によっては使いやすさが変わります。また、茶碗が割れやすかったり、欠けたりします。ぜひご参考にしてください。
まとめ
さいごに、選び方のポイントを以下にまとめます。
1.茶会は茶を楽しむためにある。抹茶碗の品評会ではない
2.お茶を点てやすく、飲みやすい茶碗を選ぶ
そして、茶碗のカタチや色・絵柄を選ぶときのポイントは以下のようになります。
1.茶碗の「見込み」が広いものが茶をたてやすい
2.サイズと重さは片手もてるもの
3.高台が安定する茶碗を選ぶ
4.素材は、ザラザラやツルツルすぎるものはダメ
5.色や絵柄は、正面がハッキリわかるものが良い
繰り返しますが、すべての決まりごとは、お客さまへの「心くばり」が基準となります。
抹茶碗選びに迷ったときは、
・お客さまにとって喜んでいただけるだろうか?
・美味しい茶を飲んでいただける茶碗だろうか?
・お客さまに、いらぬ心配をさせないだろうか?
このようなポイントで抹茶碗を選んでみてください。
そうすれば、お茶会が、あなたにとっても、お客さまにも、心からリラックスできる楽しいお茶会になるでしょう。
あなたの茶碗選びによって、見せかけではない本物の「おもてなしの心」が表れます。
あなたの「心くばり」が、きっとお客さまにも伝わるでしょう。
そして、あなたの好感度もいっそう上がるに違いありません。
![茶会で笑顔で楽しむの女性たちの画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2018/07/2bbd5ef9388a2c623d54f91d54d4d109.jpg)
このページの関連記事は、以下の記事となります。この記事とあわせてご参照ください。
「京都はしもと製陶所」では、「橋本城岳」(はしもと・じょうがく)のブランドで抹茶碗を作っております。お客さまにとって使いやすい抹茶碗づくりを心がけています。
「京都はしもと製陶所」では、清水焼の熟練の職人が、全ての工程を手作りでていねいに仕上げております。
「窯元直売」となっているため、「高品質な抹茶碗が低価格」で、ご購入いただけます。
よろしければ、「京都はしもと製陶所サイト」の橋本城岳作の抹茶碗のページも、ぜひご覧になってください。
![着物の女性が楽しく抹茶を飲んでいる画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2024/04/0f7e2c5bc37a4d4d6713928879534152.jpg)