カップや抹茶碗の飲み口のザラザラを直す方法をプロの陶芸家が解説!

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新しく買ったお気に入りの抹茶碗やカップ。

でも、使ってみると「飲み口がザラザラして口当たりが悪い・・・・・・」

やっと見つけたお気に入りのカップや茶碗だから、「なんとかこのザラつきを直す方法はないものか?」

じつは、茶碗やカップの「飲み口」をカンタンに改善する方法があるのです。

この記事では、飲み口のザラザラをなくす方法を解説いたします。

プロの陶芸家の私が、わかりやすくご説明いたします。プロの職人も実践している方法です。

せっかく購入したお気に入りのカップや抹茶碗で、飲みものをおいしく楽しみましょう。

飲み口がザラザラする理由は2つ

はじめに、結論をいいます。カップや茶碗の飲み口のザラザラを直すには、サンドペーパー(紙やすり)でみがくことで改善されます。

その方法は、あとでご紹介いたします。

まず、茶碗やカップの「飲み口」がザラザラする理由をご説明しましょう。それには、以下の2つの理由があげられます。

飲み口がザラザラする理由

1.飲み口に「うわぐすり」がない

2.茶碗やカップの素材が荒い土

2.の茶碗やカップに「荒い土」が使われてる場合は、飲み口ももちろんザラザラします。

では、次に1.の飲み口に「うわぐすり」がない場合です。

「うわぐすり」とは、カップや茶碗の表面のツルツルしたガラスのコーティーングをいいます。

飲み口に「うわぐすり」がない理由は、カップや茶碗を伏せた状態で窯で焼くからです。

以下の写真は、陶芸の窯でカップを伏せて焼くところのものとなります。

窯で伏せて焼く場合、飲み口に「うわぐすり」を塗らない

このように、カップや茶碗を伏せてやくときには、飲み口に「うわぐすり」をかけることはできません。

伏せた状態でカップや茶碗を焼くと、うわぐすりは窯の火と熱でとけてます。そのため、飲み口と窯の板とがくっついてしまうからです。

では、「なぜ、伏せて焼くのか?」

わざわざ伏せて焼く理由は、以下になります。

  1. カップや茶碗の底の裏をツルツルにしたいから
  2. 底の裏に絵付けや装飾をほどこしたいから

などの理由が考えられるのです。

以下の写真は、高台(こうだい・裏の底のこと)にうわぐすりが塗られているカップの一例です。

カップの底裏にうわぐすりを塗ることで、ツルツルになる

底の裏をツルツルにすることのメリットは、

  • お盆やテーブルにキズがつきにくい

ということが上げられます。

しかし、カップ裏の底がツルツルだとお盆にのせたときスベりやすくなります。そのため一概に使い良いとは言えません。

もう一方のカップや茶碗の素材が「荒い土」の場合です。

以下の写真は、荒い素材の土でつくられたカップです。

荒い素材の土でできたカップの飲み口はザラザラする

写真のように、ツブツブした荒い土が素材に使われている場合があります。こういったカップや茶碗も飲み口がザラザラします。

以上、茶碗やカップの飲み口がザラザラする理由は、

  1. 飲み口に「うわぐすり」がかかっていない
  2. 荒い土が使われているから

いずれの場合も、「飲み口のザラザラ」を改善することはできます。

目の細かいサンドペーパーでみがく

飲み口のザラザラを改善するには、サンドペーパー(紙やすり)で飲み口をみがきます。

飲み口をみがくためのサンドペーパーは、以下の点に注意してください。

用意するもの


1.耐水サンドペーパー(紙やすり)

2.1000番~1200番の細目がよい

では、飲み口のみがき方を順番に解説していきましょう。ここでは、マグカップを例にご説明しています。

しかし、マグカップでも茶碗でもみがき方は同じです。

1000番以上の細かい目の耐水ペーパーを用意

用意するサンドペーパーは、1000番以上の細かい目のものにしましょう。(数字が大きくなれば、細かい目になります)


耐水ペーパーでみがくときは、できるだけ細かい目のペーパーから試していきましょう。

荒い耐水ペーパーからみがき始めると、茶碗にカップにキズをつけてしまうからです。

耐水ペーパーに水をつける

耐水ペーパーを水を付けてください。水を付けないとキレイにみがけません。

カップを伏せて飲み口をみがく

カップや茶碗を伏せてみがきましょう。こうすることで、飲み口の上面だけみがくことができます。

飲み口の上面だけが磨かれるため、飲み口の横面にキズがつくことはありません。

※注意:飲み口に金など色がついている場合は、みがいてはいけません。金がはがれるからです。
※「うわぐすり」や下絵(したえ・うわぐすりの下の絵)の場合は、みがいても大丈夫です。

ある程度みがいたら、指でさわってツルツルするか確認してください。

みがいてもツルツルしないときは、ペーパーを1000番→800番と少しづつ荒目にして試します。

飲み口が金はみがいたらダメ

飲み口に「金」などが色付けしてあるものは、磨いてはいけません。金がハゲてしまいます。

直径が大きい食器の飲み口のみがき方

飲み口の口径の大きい食器は、上の写真のようにみがきましょう。直径の大きい茶碗やお皿などは、伏せてみがくことは難しいからです。

コツは、飲み口の上面だけをみがくことです。飲み口の内側や外側に絵がある場合は気をつけましょう。

飲み口の内側がザラザラする場合

飲み口の内側がザラザラするときは、中も磨いてみましょう。1000番以上の細目のペーパーで水をつけて磨けば、大きなキズがつくことはありません。

※注意:上の写真のように、「金」などの色があるカップや茶碗は、「金」の部分は磨いてはいけません。ハゲてしまいます。

飲み口の外側がザラザラする場合

内側と同様に、外側がザラつくときは、飲み口の外側もみがきましょう。ここでも、「金」などの絵付けがしてある場合は、その部分を磨かないでください。

※「うわぐすり」や下絵(したえ・うわぐすりの下の絵)の場合は、みがいてもOKです。

以上が、ザラザラする飲み口を直す方法となります。

ポイントは、まず飲み口の上面だけをみがいてみることです。「みがく」ということは、キズがつくということです。

しかし、飲み口の上面だけで細めのペーパーならキズもほとんどつきません。

以下の写真は、私が磨いてみたカップの画像です。

まずは、飲み口を「みがく前」の画像です。

飲み口を磨く前の画像
みがく前の飲み口

次の写真は、飲み口を「みがいたあと」のものです。

みがいた後の飲み口

飲み口を磨く前と後でもほとんど変化はありません。よくみるとわずかに光沢がなくなる程度のものです。

飲み口を磨くとこで、多少飲み口の部分だけ色が薄くなったり、ツヤがなくなることもあります。

しかし、カップや抹茶碗は、飲みものをおいしくのむためにあるのです。眺めて楽しむものではありません。

ですので、多少の色ツヤのことは気にせず磨いてみましょう。

ただし、 このような、ペーパーでみがく作業は、カップや茶碗のメーカーや職人が、当然やっておくべき作業だと私は考えております。

まとめ

では、飲み口をザラザラを直すときの注意点をまとめます。

  1. 飲み口がザラザラする理由は、「うわぐすり」がない、または、荒い素材の土が使われている
  2. 1000番以上の細目の耐水ペーパーで飲み口を磨く
  3. ペーパーは細目から順に試していく
  4. 飲み口の、うわぐすりの上に「金・色・絵」があるものは、磨いたらハゲる
  5. うわぐすりの下の色や絵は、磨いても少し色ツヤがなくなる程度
  6. カップや茶碗は眺めるものではない。磨いて飲みものをおいしく飲むためにある
  7. 以上のような作業は、本来メーカーや職人のやるべき仕事

また、抹茶碗やカップの飲み口の選び方については、以下の関連記事をご参照くだささい。

抹茶碗の選び方の大切な基本については、以下の記事のご参照ください。

それから、マグカップの選び方については、以下の記事をご参照ください。

また、この記事を書いている「京都はしもと製陶所」では、「橋本城岳」(はしもと・じょうがく)のブランドで抹茶碗を作っております。

当工房から直接、お客様にお届けしています。そのため、清水焼であっても「高品質ながら低価格」でご購入いただけます。

よろしければ、「京都はしもと製陶所」の商品ページを、ぜひご覧になってください。

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この記事を書いた人

橋本城岳(じょうがく)

創業80年 京焼清水焼の窯元
三代目「橋本城岳」(じょうがく)
茶道具をメインに暮らしのうつわを作る。

令和4年 経済産業大臣指定工芸品
京焼清水焼「伝統工芸士」に認定

妻の内藤加奈子(作家名)も陶芸家。
京都の伏見稲荷の陶芸と和雑貨のお店「ギャラリーKACCO」(カッコ)を営む。