濃茶とは?練り方を動画で紹介!一人分の抹茶と湯量で作り方を解説!

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「濃茶ってなんだろう?」

初めてお聞きになったあなたは、そう思われるかもしれません。

じつは、抹茶には、「濃茶」(こいちゃ)と「薄茶」(うすちゃ)の2種類があるのです。

そして、濃茶と薄茶では、使う茶葉やお湯の量、そして茶と湯をまぜる「茶せん」まで変わります。

そこで、このページでは、「濃茶」で用いる茶葉や量、そして美味しい濃茶の作り方を動画と画像でわかりやすく解説いたします。

私は、京都の茶道具専門の陶芸家として20年以上、茶道具を作り、そしてお茶を楽しんできました。

濃茶が初めての方は、ぜひご参考にしてください。

1.濃茶の練り方をユーチューブ動画で説明

まずは、とにかく動画で実際に「濃茶」を練っている様子をご紹介しましょう。

動画でご説明したように、濃茶と薄茶では、使う茶葉も茶葉の量、そして入れ方も異なることがお分かりいただけたでしょう。

濃茶は、その濃厚な味わいを楽しめる抹茶です。コーヒーでいえば、エスプレッソのようなものです。

次の章では、濃茶の練り方をくわしく解説していきます。

2.そもそも濃茶とは?茶事のメインイベント

まず最初に、「濃茶」とは、その名の通り「濃いお茶」のこととなります。

また、茶道では、濃茶をいただくことが「茶事」(さじ・ちゃじ)のメインイベントになるのです。

「茶事」とは、茶道で正式な茶会のことです。茶事は、いわばフルコースの茶会となります。

茶事については、くわしくは以下の記事をご参照ください。

濃茶は、茶道の茶事では、食事やお酒、お菓子も出されます。

しかし、食事やお菓子は、すべて「濃茶」を美味しく飲むためのものになります。

茶事のメインイベントは、あくまでも「濃茶」を美味しくいただくため。そのために茶事・茶会は開かれるのです。

3.濃茶は濃茶用の茶葉を使う

濃茶用の茶葉の選び方についてです。

濃茶で使う茶葉は、品質の高い濃茶用のものを選びましょう。

濃茶は、とても濃いお茶です。そのため質の低い薄茶用の茶葉だと、味がシブくなりすぎます。

以下の写真は、濃茶の画像です。

濃茶は、濃いので、濃茶用の甘みある高級な茶葉を使う

写真のように、濃茶はドロリとした濃さとツヤ、そして粘りがあります。また、濃厚な苦味の中にわずかな甘みがございます。

はじめて飲まれた方は、「苦い!」としか思えないかもしれません。

しかし、濃茶を何度も味わっているうちに、その芳醇で濃厚な味わいと香りに魅了されていくでしょう。

例えるなら、濃厚なエスプレッソのコーヒーを味わうようなものとなります。

濃茶は、エスプレッソコーヒーのように濃厚な味

エスプレッソコーヒーとは、少ないお湯の量にコーヒー豆の成分をギュッと凝縮したものだからです。

濃茶は、上質の茶葉を使用した、濃厚な抹茶だと覚えておきましょう。そして、茶葉は、濃茶用のものを選びましょう。

3-1.濃茶の茶葉の商品名は「◯◯の昔」。価格も高い。

濃茶用の茶葉では、商品名に「◯◯の昔」(むかし)となっていることが一般的です。

以下の写真は、濃茶の茶葉の商品の一例です。

「濃茶用の茶葉」は、高品質で高価格。薄茶より甘みがある。

また、濃茶用の茶葉は、かなり高価格となります。これは、濃茶の茶葉は、薄茶用にくらべて、品質が高い茶葉だからです。

濃茶の茶葉の価格は、お店によっても違いますが、40グラムで2,000円から4,000円となります。

そして、薄茶用の茶葉を濃茶に使ってはいけません。

以下の画像は、薄茶の商品の一例です。

「薄茶用の茶葉」は、比較的安い。濃茶よりシブ味がある。

薄茶用の茶は、濃茶用にくらべて「シブ味」があるからです。濃茶で用いるとシブ味が強すぎて飲みにくくなります。

また、薄茶用の茶葉の商品名には、「白」とつくことが一般的に多くなります。たとえば、「◯◯の白」という商品名になります。

濃茶には、品質が高くて雑味が少ない「濃茶用の茶葉」をもちいましょう。

3-2.濃茶の茶葉一人分は、4グラム。

濃茶で使う茶葉の一人分の量は、約4グラムとなります。

大きいスプーン(カレー用)で一杯分ほどの量となります。茶道では、茶杓で3杯~4杯ぐらいです。

茶葉の量は、茶道では茶しゃくで3~4杯

また、ご自宅で濃茶を練る場合は、大きいスプーン(カレー用)で一杯ほどの量でよいでしょう。

茶葉の量は、大きいスプーンで大さじ1杯。

茶葉の量は、「こんなにたくさん入れて多いのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、濃茶は、うすいとかえって苦味が増します。やや濃い目のほうが濃厚な味の中に、わずかな甘みが感じられるのです。

濃すぎた場合は、お湯を入れたあとに茶葉をつぎ足してもかまいません。

それから、茶葉がダマになる場合は、「フルイ」で茶葉をコシてからお湯を入れましょう。

茶葉がダマになるときは、あら目の茶コシでこす。

ただし、茶葉の量は、人によって好みが変わります。

茶葉の量は、茶しゃくで3~4杯。大きいスプーンで大さじ一杯ぐらいと覚えておきましょう。

また、茶葉の量は、あなたのお好みで調整してください。

3-3.濃茶一人分のお湯の量は、15cc。

濃茶一人分のお湯の量は、茶碗に入れた茶葉の量と同じくらいが目安です。量でいうと約15ccほどになります。

濃茶の場合、1回でお湯と茶葉の量を決めません。はじめに15ccほどいれて、あとでさらに少しお湯と茶葉を足して、濃さを調整します。

茶道で濃茶を練るときも、はじめにお湯を15ccで茶を練り、あとで調整します。

また、濃茶の濃さは、カレーのルーぐらいに仕上げるとお考えください。

以下の写真は、お湯の量の参考例です。

お湯の量は、見た目が茶葉と同じくらいの量

最初にお湯を入れるさいには、「ちょっと濃いかな?」と思うぐらいでよいです。

また、お湯を入れすぎて、「薄すぎたかな?」と思ったら、茶葉を足して調整してください。

お湯を入れすぎたら、茶葉をつぎ足して調整

お茶の濃さについては、人によって濃いめが好き、うすめが好きな人がいます。あなたのお好みで調整してみましょう。

また、お湯の温度は、約80度ぐらいです。茶道では、熱湯の入った茶釜にお水を一杯つぎ足して、熱湯を冷まします。

約80度の少し冷ましたお湯のほうが、濃茶の苦味の中にあるわずかな甘みを味わえるからです。

次の写真は、炭火にかけられた熱湯の入った茶釜に、水をつぎ足している様子です。

濃茶の湯は約80度。茶釜に水を一杯たして冷ます。

濃茶のお湯は、熱湯から少し冷ました約80度のお湯を用いてください。

そして、濃茶の濃さは、「ちょっとうすめのカレールーぐらい」と覚えておきましょう。

3-4.濃茶を自宅で作るときは、電気ポットが便利

それから、お湯はご自宅で茶を練るときは、「電気ポット」や「ティファール」などをお使いいただいてかまいません。

電気ポットであれば、お湯の温度も調節できて便利です。

電気ポットなら湯温も調整しやすい
お湯は、ティファールでもOK

ただし、電気ポットなどで、お湯の量をはかるのは、以外と難しいものです。

ですので、初めての方は、計量カップなどで15ccの量を一度はかってみます。

初めての濃茶を練るときは、お湯の量の目安をカップではかってみる。

そして、茶碗にお湯を入れてみて、「茶碗にこれくらいの湯量だな」と当りをつけておきましょう。

また、お湯の温度は「80度」ぐらいの湯を用いましょう。 濃茶の「わずかな甘み」を感じやすい温度だからです。

湯温調整できる電気ポットなら便利ですね。

ティファールなら、熱湯を少し冷ましたお湯を使います。

沸騰したての満タンのティファールのお湯なら、コップ半分くらいのお水を少して足して冷ましましょう。

お湯の量は、最初は15ccほど入れて練りましょう。大きいスプーン2杯~3杯ですで、茶葉と同じくらいの湯量が目安です。

濃い場合は、さらに10~15ccのお湯を足します。薄いときは、茶葉をつぎ足しましょう。

ただし、茶葉やお湯の量は、人によって濃さの好みが全く変わります。

私が通っている茶道のお稽古場でも、ドロリとした濃いお茶が好みの方もいらっしゃいます。

反対に、やや薄めが好きな方もおられます。

ただし、「薄すぎる濃茶」は、かえって苦味が強くなることを覚えておきまょう。

4.濃茶用の茶せんの穂数は、80本立てを用いる

濃茶用の「茶筅」(ちゃせん)は、「80本立て」の穂数の少ないものを使いましょう。

茶せんとは、抹茶を混ぜるときにつかう「竹の道具」のことをいいます。

以下の写真は、濃茶用の「80本立ての茶せん」の一例です。

濃茶では、茶を練るときに、なでるようやさしく茶葉と湯を混ぜ合わせます。そのため、穂数の少ない「80本立て」を用いるのです。

茶をなでるように混ぜるため、濃茶では、「茶を練る」と言います。

反対に、薄茶では「100本立て」の茶せんを使います。薄茶では、抹茶を泡だてて茶を混ぜるからです。

薄茶では、穂数が多いほうが、茶を泡だてて作りやすいからです。

茶筅を選ぶときは、濃茶では「80本立て」を使いましょう。

また、茶を練る前には、「茶せん」を水にひたして水分を含ませておきましょう。

水分を含ませておくことで、茶せんの穂先(ほさき)が折れることを防ぐためです。

茶を練るまえに、茶せんに水を含ませておく。

濃茶の茶せんは、「80本立て」。茶を練る前には、水にひたして穂先が折れることをふせぎましょう。

5.濃茶に使う抹茶碗は、厚めがよい

濃茶で用いる茶碗は、やや厚みがあるものを使いましょう。

理由は、濃茶は熱湯から少し冷ました湯(約80度)をもちいて練るからです。

そのため、茶が冷めにくくなるように厚みのある抹茶碗をオススメいたします。

例えば、以下の写真のような茶碗です。

濃茶は、冷ました湯で練る。そのため、茶が冷めにくい抹茶碗をもちいる。
濃茶用の黒楽(くろらく)の茶碗。ひとつ前の写真は赤楽(あからく)

茶道では、この画像のように「赤楽」や「黒楽」の楽茶碗が使われます。茶が冷めにくいことが理由です。

そして、濃茶では、「各」の高い抹茶碗をもちいることが決まりとなっているからです。

その抹茶碗の「各」については、以下の記事をご参照ください。

濃茶につかう抹茶碗は、やや厚手の茶が冷めにくいものを用いましょう。

まとめ

それでは、濃茶についてまとめると、以下のようになります。

濃茶の練り方

・濃茶はその名の通り、濃厚な抹茶。

・濃茶は、茶道の茶事のメインイベント。

・濃茶は、濃茶用の茶葉を用いる。商品名には「◯◯の昔」が多い。

・茶葉1人分の量は、茶しゃくで3~4杯。大きいスプーンで1杯。

・お湯の量は、茶葉と同じくらい。初めに15ccほどで練り、15cc継ぎ足す。

・お湯の温度は、熱湯から少し冷ました約80度。

・濃さは、うすめのカレールーと同じくらい。

・濃さは、あなたのお好みで調整してよい。

・茶せんは80本立てを使って練る。

・濃茶の茶碗は、厚みのあるものが冷めにくい。

濃茶は、慣れないうちは苦くてまずいと思われるかもしれません。

しかし、何度か濃茶を練り、茶葉を選び、お湯の量を調整し、そして深く味わう。

濃茶に慣れてくると、あなたも濃茶特有の甘みや芳醇な香りを楽しめるようになります。

濃茶を楽しむ一時は、あなたにとって、「ぜいたくで豊かな時間」となるでしょう。

濃厚な味わいの濃茶と和菓子でぜいたくなひとときを

この記事を書いている「京都はしもと製陶所」では、すべての工程が手づくりの抹茶碗を製作しています。

京都の清水焼熟練の職人によるものです。

また、当窯元から直売ににお客様にお届けしています。そのため、高品質であってもリーズナブルな価格となっています。

よろしければ、「京都はしもと製陶所サイト」の橋本城岳作の抹茶碗の商品ページも一度ごらんください。

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この記事を書いた人

橋本城岳(じょうがく)

創業80年 京焼清水焼の窯元
三代目「橋本城岳」(じょうがく)
茶道具の作品を造る

「京都はしもと製陶所」では
暮らしの"うつわ"を製作

令和4年 経済産業大臣指定工芸品
京焼清水焼「伝統工芸士」に認定