クリーミーな抹茶(薄茶)の点て方を動画で紹介!入れ方のコツを解説

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あなたも、初めて抹茶を作るとき、上手に泡立ただない。美味しく作れないことがありますよね。

クリーミーで美味しい抹茶をつくるには、「4つのコツ」さえ覚えておけばよいのです。

このページでは、クリーミーで美味しい抹茶(薄茶)の作り方を動画と写真でわかりやすく解説します。

私は、京都で抹茶の茶道具を20年以上、作り続けてきた職人です。また、毎週の茶道のお稽古、そして毎日の3時のおやつ時には、かならず抹茶を楽しんでいます。

そんなプロの茶道具職人としてと目線と、抹茶を楽しむ者としてクリーミーで美味しい抹茶の作り方をご紹介いたします。

2.動画で解説:クリーミーな泡立ちの抹茶の入れ方

まずは、とにかく薄茶の点て方を動画で見てみましょう。

このあと、クリーミーでおいしい抹茶の点て方のポイントをくわしく解説していきましょう。

1.茶道の抹茶:薄茶とは何?意味や読み方は?

そもそも、一般的には抹茶といえば「薄茶」(うすちゃ)のことを指します。

あなたも雑誌やテレビでご覧になったことがあるでょう。甘味処(かんみどころ)などで出される抹茶も薄茶です。

一般的に抹茶といえば「薄茶」(うすちゃ)のこと

じつは、抹茶には「薄茶」(うすちゃ)と「濃茶」(こいちゃ)の2種類があるのです。

薄茶と濃茶では、作り方や茶葉の種類、お湯の量も全くちがいます。

薄茶と濃茶のちがいや、詳細については以下の記事をご参照ください。

1.クリーミーな抹茶の点て方:4つのポイント

まず、薄茶の抹茶を作ることを「茶を点てる(たてる)」と呼びます。

そして、クリーミーな泡だちの抹茶の作り方には、以下の4つのポイントがあります。

クリーミーな抹茶の作り方:4つのポイント

①茶筅(ちゃせん)を「タテ方向」にシッカリと振る。

②茶筅(ちゃせん)は、「100本立て」を使う。

③茶葉の量は、約2グラム。お湯は「約70cc」。

④茶碗は、「内側が広く」、「少しザラザラした素材」がよい。

以上のポイントを順番に解説していきましょう。

まずは、とにかく抹茶(薄茶)の点て方を動画で見てみましょう。

この動画では、茶道の「裏千家流」での抹茶の入れ方をご紹介いたしました。裏千家では、動画のようシッカリと泡立てて茶を点てます。

では、このあとクリーミーな泡立ちの美味しい抹茶の作り方のコツを解説していきましょう。

3.茶筅(茶と湯を混ぜる道具)の振り方

クリーミーな泡だちの美味しい抹茶を作るときに、もっとも大切なのは「茶筅」(ちゃせん)の振り方です。

茶筅の振り方さえマスターすれば、茶葉の量やお湯の量を少々おまちがえになっても、クリーミーな泡立ちの抹茶が作れます。

3-1.茶筅は、タテ方向にしっかりと振る

茶筅(ちゃせん)の振り方のポイントは、動画で見ていただいたように以下の通りとなります。

茶筅の振り方のポイント

①腕をかるく伸ばす

②手首のスナップで茶筅を振る

③タテ方向にしっかり振る

以上の3点がコツです。では、そのコツを以下の画像で復習してみましょう。

腕をかるく伸ばす。
手首から下を動かしてスナップをきかせる。
茶筅をタテ方向にしっかり振る。

また、茶筅(ちゃせん)を振っている時間は、約10秒~20秒ほどとなります。

そして、茶筅(ちゃせん)の先を茶碗の底に軽く当たるようにして、シャカシャカと振りましょう。

茶筅(ちゃせん)は、腕を軽く伸ばし、手首から下のスナップで、タテ方向にしっかりと振りましょう。

3-2.茶筅は、「100本立て」をもちいる

茶筅は、「100本立て」を使いましょう。穂数(ほすう・茶せんの先の本数)が100本と多いので、よく泡立つからです。

茶筅には、一般的に「80本立て」と「100本立て」のものがございます。

以下の画像は、「80本立て」と「100本立て」の茶筅の一例です。

80本立てと100本立ての茶せんの画像
薄茶の抹茶を作るときは、「100本立て」の茶筅を使う

「100本立て」のほうが穂数が多いですね。そのため、抹茶がよく混ざり、泡立ちやすいのです。

クリーミーな泡立ちの抹茶を作るときは、「100本立て」の茶筅をもちいましょう。

4.茶葉の分量:一人分は、約2グラム

茶葉の量は、抹茶一人分で「2グラム」ほどが目安です。

茶葉が少なすぎると、泡立たずにクリーミーになりません。また、薄い抹茶は、かえって苦味が強くなってしまいます。

茶葉2グラムの量は、「茶杓」(ちゃしゃく・茶道で使うスプーン)で大さじ2杯となります。

以下の画像は、茶葉を茶杓(ちゃしゃく)ですくっているところです。

茶葉の量は、茶杓(ちゃしゃく)で大さじ2杯

また、茶葉2グラムは、小さじのスプーンであれば、1杯となります。

または、小さいスプーンで1杯ほど

茶葉の量は、茶杓(ちゃしゃく)で大さじ2杯。小さいスプーンで1杯とおぼえておきましょう。

4-1.抹茶がダマになるときは、「茶こし」を使う

抹茶の茶葉が、ダマになるときは「粗目の茶こし」でコシましょう。

茶葉のダマは、茶筅を振って混ぜても、残ります。ダマが残ると、抹茶の後味が、とても悪くなります。

茶葉のダマは、粗目の茶こしでこす

茶こしでコシても、泡立ちには関係ありません。

しかし、茶こしを使うと、ダマのないフンワリとした後味のよい抹茶ができあがります。

4-2.茶葉は薄茶用が基本。でも濃茶用をつかってもよい。

薄茶で使う茶葉は、薄茶用が基本です。

ですが、薄茶を点てるのに「濃茶用の茶葉」を用いてもかまわないのです。

理由は、以下のようになります。

  • 今の濃茶と薄茶の製法は、基本的に同じ
  • 薄茶の茶葉より濃茶のほうが品質の高い高級品

薄茶と濃茶の茶葉は、以上のような違いだからです。

品質の高い濃茶用の茶葉は、薄茶用のものにくらべて、苦味や雑味が少なく、わずかに甘みが多くなります。

以下の写真は、薄茶用の茶葉の値段の一例です。

薄茶用の茶葉は、40グラム600円ぐらいから。

写真のように、「薄茶用の茶葉」は、40グラムで600円~1,500円です。

つづいて、以下の画像は「濃茶の茶葉」の商品の一例です。

濃茶の茶葉は、高品質で高価格。40グラムで2,000円以上。

「濃茶の茶葉」は、同じ40グラムでも2,000円~4,000円。とても高価格となります。

茶葉の値段が高くなるほど、雑味と苦味か少なくなります。そして、わずかな甘みを感じられる高品質な茶葉といえます。

ときには 、私は、「薄茶」をいただく際に「濃茶用の茶葉」を使うときがあります。

高品質な濃茶の茶葉で茶を点てることで、少しぜいたくな自分への「ごほうび」として茶を味わいます。

それから、茶葉の量は「20グラム」や「40グラム」の単位で販売されることが多いです。

40グラムは、以下の写真の箱に入るほどの量です。

茶葉40グラムで、このくらいのサイズの箱

茶葉40グラムは、シュガーポットだと半分ぐらい。また、茶道で使う茶葉の入れ物の「棗」(なつめ)が満タンになる量です。

茶葉40グラムは、棗(なつめ)に満タン。シュガーポットだと半分くらいの量。

私は、茶葉を40グラムの単位で購入することが多いです。

また、薄茶と濃茶のちがいについて詳しくは、以下のページもご参照ください。

薄茶でもちいる茶葉は、薄茶用が基本。ただし、濃茶の茶葉を使ってもよいと覚えていおきましょう。

5.薄茶のお湯(お水)の量は、70cc

薄茶を点てるときのお湯の量は、約70ccとなります。

70ccの目安は、小さい「ヤクルト」よりホンの少し多い湯の量と覚えておきましょう。

小さいヤクルトは、65ccだからです。

お湯の量は、ヤクルト一本分が目安。

このヤクルト一本を、抹茶碗に入れてみると以下の写真のようなお湯の量となります。

ヤクルト一本分を抹茶碗に入れると、これぐらいの量。

茶道では、お茶の量を「3口半」で飲み切れるほどで出します。この「3口半」で飲みきれる湯の量が、このヤクルト一本分となります。

また、お湯の適量は、人によって違います。あなたのお好みで調整してみましょう。

5-1.お湯の温度は、約90度

お湯の温度は、「90度ぐらい」が目安となります。やや高めの熱湯となります。

とくに、冬場は茶が冷めてしまうと味がマズくなりますので、少し高めの抹茶を作るとよいです。

初めのうちは、抹茶を作るのに手間取ったりするものです。

また、お湯は、電気ポットやティーファールをお使いになってもよいです。

電気ポットならお湯の温度調整もしやすいですね。

電気ポットなら、湯温が調整できる。
ティーファールなどでサクッとお湯を沸かしてもよい。

ただし、初めての方は電気ポットでお湯の量をはかるのは、なかなか難しいものです。

一度、計量カップなどで湯量をはかって茶碗に入れてみましょう。

初めてのときは、計量カップで湯量の当りをつける

だいたいの湯量の当りがわかると、次回からは、「茶碗のこの当りの量だな」とだいたいの見当でお湯を入れてもかまいません。

注意点としては、茶が薄すぎるとクリーミーな泡が立ちにくくなります。

また、薄すぎる抹茶は、かえって苦味や雑味が増すものです。抹茶本来の甘味も消えてしまいます。

お湯の量は、小さいヤクルトより少し多いくらいの70cc。茶葉は、茶しゃく大さじ2杯の茶葉(小さいスプーン1杯)が適量となります。

そして、お湯の温度は、90度くらいを目安にしましょう。

6.薄茶の抹茶碗のカタチと素材

クリーミーで美味しい抹茶の入れ方には、抹茶碗のカタチや素材も関係してきます。

6-1.抹茶碗の内側は、広いものがよい

クリーミーで美味しい抹茶を作る際の「抹茶碗選び」で一番大切なことはカタチです。

そのカタチとは、茶碗の「内側の底の部分」が広ものがよいのです。理由は、「茶せん」を振りやすいからです。

茶碗内側の茶が入る部分に広いスペースがあると、茶せんをシッカリと振ることができます。

そのため、クリーミーな泡立ちとなります。

以下の写真は、内側の広い抹茶碗の一例です。

お茶がはいる部分に広いスペースがある茶碗は、茶せんを振りやすく、クリーミーな抹茶になる。

茶碗の内側が広いと、茶と湯がしっかりと混ざるため、美味しい抹茶ができあがります。

6-2.茶碗の表面が少しザラザラしていると泡立つ

2つ目に大切なことは茶碗の表面に、ホンの少し「ザラつき」があることです。

茶碗表面が少しザラザラしていると茶筅(ちゃせん)の先が、「シャカシャカ」となり泡立つからです。

茶せんを回して茶を点てる画像
茶碗の表面がホンの少しザラザラしているとシャカシャカと泡立つ

写真のように、茶筅(ちゃせん)と茶碗の表面が「シャカシャカ」となることで、クリーミー抹茶を作りやすくなります。

以下の写真は、ホンの少しザラつきがある素材の茶碗の一例です。

茶混ぜやすい素材の抹茶碗の一例の画像
茶碗の表面は、ホンの少しザラザラしているほうが泡立ちやすい。

反対に、ツルツルすぎる茶碗の表面では、茶せんの先がすべります。そのため、シャカシャカと茶を混ぜられずにクリーミーになりにくいのです。

6-3.茶碗の代用品は、大きい茶碗やドンブリで素材が少しザラザラしたものがよい

ご自宅で抹茶を入れるさいに、抹茶碗の代用品として、「ドンブリ」や「ごはん茶碗」をお使いになってもかまいません。

茶碗やドンブリを抹茶碗として代用するさいは、以下のものがオススメです。

  • 表面の素材が少しザラザラしているもの
  • 茶碗やドンブリの底の内側が広いカタチ

前の章でご説明したように、内側が小さく、表面の素材がツルツルしたドンブリや食器は、クリーミーで美味しい抹茶を作りにくいです。

ツルツルすぎる表面素材のドンブリは、クリーミーな抹茶を作りにくい。

また、ご飯茶碗などは、茶碗の底のほうが細くて小さくなっています。これでは、茶せんをシャカシャカと振りにくいのです。

茶がはいる底が細くて小さい「ご飯茶碗」は、茶せんを振りにくく、茶を点てにくい。

以上のように、ツルツルすぎる表面の食器や、底のほうが小さいものは、使わないようにしましょう。

以下の写真は、抹茶碗の代用品として使える「ご飯茶碗」の一例です。

抹茶碗の代用品には、内側の底が広めの茶碗やドンブリがおすすめ。素材は、少しザラつきのあるものがよい。

この「抹茶碗の選び方」について、詳しくは以下のページをご覧ください。

以下のページでは、抹茶をたてやすいカタチの茶碗のカタチや素材。飲みやすい茶碗、茶道の練習に最適な「抹茶碗の選び方」について解説しております。

クリーミーで美味しい抹茶を入れやすい茶碗のカタチは、内側が広いもの。そして、茶碗表面の素材にホンの少しザラつきがあるものがオススメです。

まとめ

クリーミーな泡立ちで、美味しい抹茶の作り方をご説明いたしました。復習のかねて、以下にコツをまとめてみます。

薄茶の点て方のおさらい

・一般的に抹茶といえば、「薄茶」(うすちゃ)のことを指す。

・茶せんは、「100本立て」を使う

・茶せんを振るときは、タテ方向にしっかりと振る

・茶葉の量は、茶しゃくで大さじ2杯。小さいスプーンなら1杯。

・お湯の量は、小さいヤクルトよりホンの少し多い「70cc」

・茶葉がダマになるときは、粗目の茶コシをもちいる。

・茶葉は薄茶用が基本。でも濃茶用でもよい。

・抹茶碗は、内側の底が広く、ホンのすこしザラザラした表面のものがよい。

クリーミーな泡立ちで美味しい抹茶ができましたでしょうか?

それでは、美味しい抹茶と甘い和菓子でホッとリラックスする時間を味わいましょう。

ご友人をお誘いになって、抹茶を楽しむのもよいですね!

抹茶碗扇面四季と抹茶と和菓子の画像
クリーミーでシブ味ある抹茶は、甘い和菓子とよく合います。

この記事を書いている「京都はしもと製陶所」では、清水焼の手づくりの抹茶碗を作っております。

美味しい抹茶を点てやすく、美しい抹茶碗づくりを心がけています。

また、工房からの直売となっているため、高品質な抹茶碗でもリーズナブルな価格でご購入いただけます。

よろしければ、「京都はしもと製陶所サイト」の橋本城岳作の抹茶碗のページも、ぜひご覧になってください。

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この記事を書いた人

橋本城岳(じょうがく)

創業80年 京焼清水焼の窯元
三代目「橋本城岳」(じょうがく)
茶道具の作品を造る

「京都はしもと製陶所」では
暮らしの"うつわ"を製作

令和4年 経済産業大臣指定工芸品
京焼清水焼「伝統工芸士」に認定