楽焼の抹茶碗のろくろと手びねりの違いや価格や値段をプロ陶芸家が解説

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楽焼の抹茶碗は、茶道をたしなむ方ならば、1つは持っておきたい必需品となります。

また、お茶をご自宅で楽しまれる人にとっても、魅力的な茶碗ですね。

しかし、楽茶碗といっても、価格がピンキリです。

「同じような楽茶碗なのに、なぜこんな値段が違うのだろう?」と思いますよね。

じつは、「楽焼きの茶碗」は、その作り方によって価格が全然かわります。

そこで、この記事では「楽茶碗」の値段をちがいについてご紹介いたします。

私は、陶芸家として20年以上、抹茶碗を作りつづけております。その職人目線で解説いたします。

楽茶碗:ロクロ成形は安いが、手びねりは高い

楽焼の茶碗の値段は、有名な作家の作品か? それとも無名の陶芸家のものかによって価格が変わり

しかし、同じ作家の楽茶碗でも、価格が全く違う場合がございます。

その理由は、楽焼の価格は、「ロクロ成形」でつくられた茶碗か、「手びねり」でつくられたものかで決まるからです。

楽焼の作り方による値段の違いは、以下のようになります。

楽焼の価格のちがい

・「ロクロ成形」で作られた楽茶碗は、値段が安い

・「手びねり」や「手づくね」で作られたものは、価格が高い

この点について、以下にご説明いたします。

まず、「ロクロ成形」は、回転する円盤の上で土を回して茶碗をつくる方法です。

以下の写真は、私が「ロクロ成形」で茶碗を作っている様子です。

ロクロ成形で茶碗を作る画像
「ロクロ成形」では、「手づくね」より速く茶碗を作ることができる。そのため価格が安い。

つぎに、「手づくね」とは粘土のカタマリを手でこねて抹茶碗をつくります。

以下の写真は、「手づくね」で茶碗を作っているところです。

手づくねで茶碗を作っている画像
「手づくね」は、時間と手間がかかる。そのため、茶碗の価格が高くなる。

そして、「手づくね」は「ロクロ成形」よりも、茶碗を作るのに何倍も手間がかかります。そのため「手づくね」で作られた茶碗は、価格が高くなるのです。

一般的に、5万円以上する楽焼の茶碗は「手づくね」で作られていることが多いとお考えください。

ただし、有名な作家の楽焼では、ロクロ成形のものでも5万円以上することがあります。ですので、いちがいには言えません。

2.楽茶碗を買うなら 5万円以上の手づくねがオススメ

もし、あなたが5万円以上の楽茶碗を購入される場合は、「手づくね」を選ばれることをオススメします。

楽茶碗の本来の作り方は、「手づくね」だからです。また、手づくねの茶碗は、ロクロ成形にはないフンイキがあります。

つぎの写真は、「手づくね」で作られた黒楽の茶碗です。

手づくねの楽茶碗には、独特の風格がある

写真の黒楽茶碗は、「吉村楽入」(よしむら・らくにゅう)氏の作品です。

価格は、20万円以上するものです。

この「手づくね」の茶碗は、手にもった感じや重さ、そしてサイズなどが「手にピッタリおさまる」感じがすばらしいですね。

人の手の感覚は、非常にすぐれたセンサー能力を持っています。

ですので、じっさいに、茶碗を手にとってみると見た目だけでは、わからない「手に持った感触」が伝わってきます。

あなたが、5万円以上あるいは、10万円を超える楽茶碗をお買い求めのさいには、お店の方に次のように尋ねてみましょう。

「この楽茶碗は、ロクロ成形ですか? それとは手づくねですか?」

また、抹茶碗の選び方については、以下の記事をご参照ください。

この記事では、あなたがお買いもののさいに「失敗しないための抹茶碗の選び方」をプロの陶芸家の目で解説しています。

このページを読んでいただくと、使いやすく、そしてお客さまにも喜ばれる「抹茶碗の選び方」がわかるようになるでしょう。

この記事を書いている「京都はしもと製陶所」では、「橋本城岳」(はしもと・じょうがく)のブランドで職人手づくりの清水焼の茶道具や食器を作っております。

当工房から直接、お客様にお届けしています。そのため、手づくりの清水焼が「高品質でも低価格」でご購入いただけます。

よろしければ、「京都はしもと製陶所」の商品ページを、ぜひご覧になってください。

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この記事を書いた人

橋本城岳(じょうがく)

創業80年 京焼清水焼の窯元
三代目「橋本城岳」(じょうがく)
茶道具をメインに暮らしのうつわを作る。

令和4年 経済産業大臣指定工芸品
京焼清水焼「伝統工芸士」に認定

妻の内藤加奈子(作家名)も陶芸家。
京都の伏見稲荷の陶芸と和雑貨のお店「ギャラリーKACCO」(カッコ)を営む。