合茶碗って何? 京都の陶芸家が解説します!

  • ブックマーク
  • Feedly

合茶碗(あいちゃわん)は、茶道で使われる抹茶碗の1種です。ただ、茶道の習う方でも、合茶碗って見たこともない方も多いと思います。

ただし茶道では、合茶碗を使わなければならない決まりはありません。

しかし、合茶碗を使うことで、お客さまへの細やかな「心くばり」を表現することができるのです。それによって、お客さまもあなたの気配りに気づいてくれることでしょう。

この記事では、京都の陶芸家である私が、合茶碗について解説したします。この合茶碗を用いることで、あなたも、お客さまへの細やかな配慮を表現してみましょう。

1.合茶碗のカタチは、夏茶碗と冬茶碗の中間

合茶碗(あいちゃわん)は、夏茶碗(なつちゃわん)と冬茶碗(ふつうのカタチの抹茶碗)の中間のカタチのものです。

そのため、合茶碗は、夏茶碗よりはお茶が冷めにくくなります。また、通常のカタチの抹茶碗よりは冷めやすくなっているのです。

次の写真は、合茶碗の一例です。

合茶碗の画像
合茶碗は、夏茶碗とふつうの抹茶碗の中間のカタチ

このような合茶碗の特徴をまとめると以下のようになります。

【合茶碗(あいちゃわん)の特徴】

  1. 夏茶碗と冬茶碗の中間のカタチ
  2. 夏茶碗より茶が冷めにくい
  3. 冬の抹茶碗より、茶が冷めやすい

以下に、写真で合茶碗と夏茶碗、そして通常の抹茶碗とのちがいを見ていきましょう。

まず、次の写真は合茶碗と夏茶碗のカタチのちがいを比べたものです。

左側の合茶碗は、夏茶碗とくらべて口がせまく深いカタチ。茶が冷めにくい

写真の右の夏茶碗は、口がひろく、深さがあさいカタチです。このため、夏茶碗はお茶がさめやすくなっているのです。

しかし、写真左側の合茶碗はこの夏碗ほど広口でも浅くもないカタチです。そのため、夏茶碗ほどは、茶が冷めにくくなります。

ですので、さほど暑くない初夏、または初秋のころにもちいます。

つづいて、次の写真は合茶碗と普通の抹茶碗のカタチのちがいをくらべたものです。

左の合茶碗は、右の抹茶碗より口が広く浅いカタチ。茶が冷めやすい

写真左側の合茶碗は、右のふつうのカタチの抹茶碗よりも広口です。また、茶碗の深さも浅くつくられています。

通常の茶碗より茶が冷めやすいため、まだ寒くない初秋にもちいられるのです。

このように、合茶碗と夏茶碗、またはふつうの茶碗にはカタチの大きな違いはありません。それに、多少カタチが広口であったり、浅くなっていても、さほど茶がさめやすいものでもないです。

しかし、合茶碗をもちいることで、お客さまへのあなたの細やかな「心くばり」を示してみましょう。

2.合茶碗を使う時期は5月~6月、または9月から10月

合茶碗がもちいられる時期は初夏の5月から6月、または、初秋の9月から10月となります。

合茶碗、夏茶碗を使うほど暑くもなく、また、通常の茶碗をもちいるほど寒くはないからです。

合茶碗は、少し暑くなってくる5月~6月の初夏にもちいられるのです。冬用の茶碗よりは、茶が冷めやすいからです。

反対に、まだ寒くない季節である9月~10月の初秋にも使われます。ここでも、冬用の抹茶碗よりは冷めやすいからです。

ただし、合茶碗を使わなければならないという決まりもありません。

ですので、あなた自信で茶会の当日の暑さ寒さをお考えください。その気候によって茶碗を使いわけるようにしましょう。

茶道では、このように違うカタチの茶碗を使いわけます。それによって、お客さまへの細やかな「心くばり」を表現するのです。

お客さまも、あなたの細やかな心づかいに、きっと気づいてくれることでしょう。

楽しいお茶会の画像

まとめ

さいごに合茶碗についてまとめます。

  1. 合茶碗は、夏茶碗と冬用の抹茶碗の中間のカタチをした茶碗
  2. 合茶碗は、夏茶碗より茶が冷めにくいが、冬の茶碗より冷めやすい
  3. 合茶碗をもちいる時期は、5月~6月の初夏、または9月~10月の初秋
  4. 合茶碗をもちいることで、お客さまへの細やかな心づかいを表現できる

関連記事として、「抹茶碗の選び方」についてのくわしい解説を以下のページでご紹介しております。

この記事では、清水焼のプロの陶芸家が「抹茶碗の選び方」について、わかりやすく解説しております。ぜひご参照ください。

京都はしもと製陶所では、橋本城岳(はしもと・じょうがく)の銘(めい)で抹茶碗を製作しております。京都の清水焼の熟練の職人による、すべての工程が手づくりのものです。

また、当工房から直接、お客様にお届けしています。そのため、高品質でもリーズナブルな価格となっています。

よろしければ、京都はしもと製陶所の商品ページも一度ごらんください。

  • ブックマーク
  • Feedly

この記事を書いた人

橋本城岳(じょうがく)

創業80年 京焼清水焼の窯元
三代目「橋本城岳」(じょうがく)
茶道具をメインに暮らしのうつわを作る。

令和4年 経済産業大臣指定工芸品
京焼清水焼「伝統工芸士」に認定

妻の内藤加奈子(作家名)も陶芸家。
京都の伏見稲荷の陶芸と和雑貨のお店「ギャラリーKACCO」(カッコ)を営む。