抹茶碗の作家・宮地英香とは?略歴や経歴・読み方を京都の陶芸家が解説!

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「宮地英香作」の抹茶碗は、ネット通販でも、とても人気がありますね。

茶碗の全体に美しい絵が描かかれており、価格もすごくお手頃な価格です。当ブログでも、「購入して損はない茶碗」としてごオススメさせていただいています。

しかし、「宮地英香さんってどんな作家さんなんだろう?」そんな疑問がわいてきますよね。

「どんな経歴の作家さんなんだろうか?」

「もし会えるなら、ぜひお会いして、お話をおうかがいしたい!」

私も、同じ陶芸家として、そう思いました。

そこで、京都府陶磁器協同組合の副会長の私が、さまざまなツテを使って調べてみました。ぜひご一読ください。

宮地英香はブランド名

結論から言いますと、宮地英香(みやじ・えいこう)とはブランドの名前だと考えられます。「宮地英香」という人物が実際にいるわけではないということです。

京都府陶磁器協同組合・青年部の副会長の私が、業界関係者にあたって調べた結果です。

私もひとりの陶芸家として「宮地英香」さんに、ぜひお会いしたいと考えていましたので、少し残念でした・・・・・・

陶芸の業界では、ブランド名に人の名前をつける

作家さんの名前の付け方を解説します。陶芸業界では、ブランド名として人物の名前をつけることが一般的となってるからです。

これは、有名ブランドである「ルイ・ヴィトン」と同じような考え方の作家名の付け方とお考えください。

「ルイ・ヴィトン」は、人の名前ですが、それがブランド名となっています。

しかし、ルイ・ヴィトンさんが、ルイ・ヴィトンのすべての商品を作っていたわけではありません。

ルイ・ヴィトンの革のバッグの画像
ルイ・ヴィトンは人の名前がブランド名。さまざまな職人がひとつのバッグを作る。


ルイ・ヴィトン公式サイト より引用

たとえば、革のバッグを例にとります。

ひとつのバッグを作るには、以下のように、さまざまな工程があります

このように、ひとつのバッグを作るにも、たくさんの職人の手がかかっているのです。けっして、ルイ・ヴィトンのトップの人がひとりで商品を作っているわけではありません。

革のバックを作る工程

1.バッグのデザインを決めるデザイナー
2.革に色を染める職人
3.バッグを革を裁断・裁縫する職人

陶器の抹茶碗などの場合も、これと同じです。陶芸の工程には、以下のようなものがあります。

抹茶碗を作る工程

1.抹茶碗のデザインを考える人
2.ロクロ成形などカタチを作る職人
3.絵を描く職人さん

これら、複数の職人さんが集まって、ひとつの茶碗ができあがるのです。

つぎの写真は、職人による陶芸のロクロ成形や絵付けの様子です。

陶芸のロクロや絵付けの工程の画像
陶芸でも、成形はロクロ専門の職人。絵付けは、絵を描く専門の職人が担当することで一つの作品を作る

こういった方法で茶碗などを作ることを「分業」と言います。分業にすることで、それぞれの工程を専門家がべつべつに担当します。そのため、質の高い商品を低価格で作ることができるのです。

その場合、その茶碗を「誰が作ったの?」となります。そこで、架空の人物の名前を「ブランド名」として付けるわけです。

そして、昔から陶芸の業界では、人の名前を「ブランド名」として付けることが通例となっています。

「宮地英香作」の抹茶碗も、このような方法で作られた茶碗だと推測されます。

絵柄はプリント印刷だと思われるが、とても美しい

つぎに、「宮地英香作」の抹茶碗は、「手作りかどうか?」という点について解説します。

まず、この茶碗の絵は、プリント印刷だと思います。プロの職人である私の目からみても、99%プリント印刷です。

理由は、「この価格で職人の手描きでは絶対に作ることができない」こと。そして、絵の線が手描きではないという点です。

また、この道50年以上の超ベテラン職人の方にも、見てもらいました。その職人さんも「これは、プリントに間違いないだろう」とおっしゃりました。

つぎの写真は、宮地英香作の「抹茶碗紅葉」(まっちゃわん・もみじ)です。

洋絵の具で描かれた絵の画像
絵はプリントだと思われるが、とてもはなやか


楽天市場 茶碗 仁清 青楓 より引用

プリントによる絵付けは、絵の「りんかく」の線が均一です。また、色のぬり具合も色のムラがないものとなります。

また、つぎの写真は、手描きによる絵付けのものです。

和絵の具の色あいの画像
手描きによる絵付けの抹茶碗

反対に、手描きの場合です。人の手によるものですので、線も均一にはなりません。また、色のムラが出るようになります。

4,500円の価格で手づくりでは不可能

次に、この茶碗の価格から見たポイントです。

この茶碗の価格は、4,860円(税込み)となっています。税ぬき価格で4,500円です。陶芸業界の価格のつけ方では、製造元の工房には、販売価格の3分の1となるのが通例です。

つまり、この茶碗は、4,500円です。その3分の1が製造元の卸値です。ですので「1,500円」がこの茶碗をつくった工房からの出荷価格となります。

残りは、中間業者と販売店の手数料が、それぞれ1,500円づつとなります。

1,500円という値段では、少なくとも私の工房で、職人の手作りでは、これほど手間のかかった絵柄の茶碗を作ることはできません。完全に赤字となります。

また、茶碗の本体の成形も、おそらく機械ロクロによるものだと思います。機械ロクロとは、石膏型(せっこうかた)で、茶碗を大量生産する方法です。

以下の写真は、機械ロクロで作っている画像です。

機械ロクロで作っている画像
機械ロクロは、石膏型で陶器をつくる方法。コストが安く大量生産に向いている。


津軽金山焼 より引用

機械ロクロで作るメリットは、大量生産がしやすいことと、製造コストが安くできることです。

以上のことが、「宮地英香作」の抹茶碗を、あなたがお手頃な価格で購入できる理由です。

まとめ

実在する作家さんではないと思われるのは、私もとても残念でした。陶芸家として、ぜひお会いして、お話をおうかがいしたかったからです。

また、この茶碗は、絵柄がプリントであったり、機械ロクロ成形であることが推測されます。

しかし、「宮地英香作」の抹茶碗をオススメできる理由は、これほどステキで美しい抹茶碗が、とてもお手頃な価格で購入できることです。

オススメのポイントをまとめると、以下のようになります。

宮地英香作の茶碗のおすすめポイント

1.茶碗の全面に美しい絵柄が描かれている

2.価格が5,000円以下で購入できる

3.季節の絵柄の茶碗は1年中使えないのでお買い得

4.お稽古やご自宅でのご使用には最適

ただし、この茶碗は正式なお茶会には使えません。

しかし、茶道のお稽古用に、または、ご自宅でお茶の楽しむ方にもオススメの茶碗となります。

また、この記事を書いている「京都はしもと製陶所」では、「橋本城岳」(はしもと・じょうがく)のブランドで抹茶碗を作っております。

お客さまにとって高品質で低価格の抹茶碗を製作しております。

私どもの工房では、清水焼の熟練の職人が、全ての工程を手作りで、ていねいに仕上げております。

しかしながら、工房から直売にて、お客様にお届けしています。そのため、高品質な茶碗が2,500円から1万円までのお手頃な価格となっています。

よろしければ、京都はしもと製陶所の抹茶碗のページも、ぜひご覧になってください。

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この記事を書いた人

橋本城岳(じょうがく)

創業80年 京焼清水焼の窯元
三代目「橋本城岳」(じょうがく)
茶道具をメインに暮らしのうつわを作る。

令和4年 経済産業大臣指定工芸品
京焼清水焼「伝統工芸士」に認定

妻の内藤加奈子(作家名)も陶芸家。
京都の伏見稲荷の陶芸と和雑貨のお店「ギャラリーKACCO」(カッコ)を営む。