春といえば、やはり桜。この季節には、桜の抹茶碗で春の気分を味わいたいものですね。
しかし、桜の茶碗とひとくちに申しましても様々な種類がございます。
選び方によっては、絵の見どころや、お茶のたてやすさも変わってきます。
そこで、このページでは、プロの陶芸家がネット通販で購入できる「オススメの桜の抹茶碗」を厳選してご紹介いたします。
清水焼の茶道具専門の陶芸家が、プロ目線で解説しております。
あなたの「桜の抹茶碗選び」の一助となれば幸いです。
1.しだれ桜 抹茶茶碗
美濃焼 しだれ桜 抹茶茶碗
楽天市場 ほんぢ園 より引用
- 美濃焼 しだれ桜抹茶碗
- 1,540円(税込)
初めにご紹介するのは、「美濃焼 しだれ桜抹茶碗」です。
薄くにじんだような桜が、とても可愛らしく、また価格が1,540円と非常に安価なものとなっています。
そのため、茶道のお稽古やご自宅で抹茶を楽しむにも気軽にお使いできるでしょう。
じつは、この「しだれ桜 抹茶茶碗」の一番の特長は、お茶のたてやすさです。
理由は、土の素材です。
茶碗の表面に少しザラつきがあります。そのため、「茶せん」を振って茶を混ぜるときに、シャカシャカとなります。
美濃焼 しだれ桜抹茶茶碗
楽天市場 ほんぢ園 より引用
この土の素材が「美濃焼」(みのやき)の特長のひとつです。
お茶の初心者の方でも、茶が泡だちやすく「クリーミーな抹茶」を楽しめるでしょう。
サイズは、女性の手の中にも、おさまる感じとなっています。
- 口径 11.7センチ
- 高さ 7.5センチ
となり、標準的な茶碗サイズよりも少し小ぶりだからです。陶芸家が茶碗を作るときの「基準としているサイズ」が、口径12センチ・高さが8センチとなるからです。
また、重さについては、見ために厚みが重そうに見えます
しかし、茶碗を手にとると思ったより軽くお感じになるでしょう。
理由は、美濃(みの・岐阜県)の土の中には「気泡」(きほう・空気の細かい粒)が多いからです。
例えていうと、「軽石」のような素材だとお考えください。
この土の素材は、厚みのわりには軽い。そして、保温性の高い茶碗でもあります。
以上のような、抹茶碗の選び方について詳しくは、以下の記事もご参照ください。
価格が1,540円かなりのお買い得品です。
たしかに価格相応の安っぽさはあります。
しかし、可愛らしい桜の絵柄で、お茶が点てやすいため、茶道の初心者やご自宅で気軽にお使いできる抹茶碗となっています。
商品詳細は、以下のようになっております。
商品名:美濃焼 しだれ桜 抹茶茶碗
作者:美濃焼
価格:1,540円(税込)
口径:11.5
高さ:7.5cm
箱:ダンボール箱
「美濃焼 しだれ桜 抹茶茶碗」は、以下のサイトよりご購入いただけます。
2.色絵桜 抹茶茶碗
色絵桜 抹茶茶碗 陶仙作
楽天市場 松韻堂 より引用
- 色絵桜 抹茶茶碗 陶仙作
- 4,800円(税込)
2番めにご紹介するのは、「色絵桜 抹茶茶碗 陶仙(とうせん)作」です。
手頃な価格(4800円)で、水彩画のように「はんなり」とした桜の絵がステキな抹茶碗となります。
柔らかくボンヤリとした絵が抹茶のグリーンをやさしく引き立ててくれるでしょう。
この水彩画のようなやさしい絵は、「下絵」で描かれているからです。
下絵とは、「うわぐすり」の下に絵付けされている意味となります。
「うわぐすり」は、茶碗の表面のガラス状のツルツルしたコーティングのことです。「うわぐすりの下」に絵が描かれているため「下絵」といわれます。
以下の画像は、「下絵」の一例となります。
![下絵で描かれた抹茶碗の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/01/c56b97496b63b82e6cf42aedd3158388.jpg)
写真のように、うわぐすりのガラスのコーティングの下に絵があるために、ボンヤリと浮かぶやさしい絵となります。
以下の写真は、「色絵桜 抹茶茶碗 陶仙作」の桜の絵を拡大したものです。
色絵桜 抹茶茶碗 陶仙作
楽天市場 松韻堂 より引用
写真のように、「下絵」による絵付けは、にじんだようにはんなりと美しい表情となっています。
だだし、注意点としては、商品によっては「色の濃い・うすい」に若干のちがいがでることです。
うわぐすりの下に絵があること、そして手描きであることで、「色の濃い・うすい」などの差が出てしまいます。
商品が、お気にめさないときは、お店の方に交換をお願いしましょう。
ここで紹介しております「京焼・清水焼焼専門店 松韻堂(しょういんどう)」さんでは、商品の交換にも心よく応じていただけます。
サイズは、直径12.5センチ。高さ7.5センチ。重さ270グラム。
やや大ぶりの茶碗という印象となります。
大きめの茶碗は、絵柄がよく引き立ってみえますとい特長がございます。
そのため、茶道のお茶会やお客さまにお出しするのにもオススメの茶碗となります。
商品詳細は、以下の通りとなっています。
商品名:色絵桜 抹茶茶碗
作者: 岡山陶仙(おかやま・とうせん)作
価格:4,800円(税込)
口径:12.5cm
高さ:7.5cm
重さ:270g
箱:化粧箱(紙箱)付
「色絵桜 抹茶茶碗 陶仙作」は、以下のサイトよりご購入いただけます。
3. 色絵桜 抹茶茶碗
色絵桜 抹茶茶碗 剛作
楽天市場 松韻堂 より引用
- 色絵桜 抹茶茶碗 剛作
- 7,612円(税込)
3つめにご紹介するのは、テレビ番組「はなまるマーケット」の春の京都特集で取りあげられた人気の抹茶碗です。
やさしいピンク色の茶碗に、派手すぎない白の桜が描かれた抹茶碗となります。
この「色絵桜 抹茶碗」の一番の特長は、茶碗を上から見ると花びらのカタチになっていること。
以下の写真は、「色絵桜 抹茶茶碗」を上からみたところです。
色絵桜 抹茶碗 剛作
楽天市場 松韻堂 より引用
はなやかな桜色、そして花びらのカタチを眺めつつお茶をいただく。そうすれば、春の気分もグッと上がることでしょう。
茶碗の地の色のピンク色は、一見ハデなように見えます。
しかし、実際は和風のやさしいピンク色となっています。
その理由は、このピンク色は「陶試紅」(とうしこう)という絵の具が使われているためです。
次の写真は、その「陶試紅」の絵の具の材料です。
![陶試紅の絵の具の画像](https://hseito.com/wp-content/uploads/2019/01/2354621bb7b022b7e099eeb4f34470b6.jpg)
この「陶試紅」のピンク色には、戦前の昭和のはじめに「日本で作られた絵の具」であるため、和のテイストのピンク色となります。
京焼・清水焼では、ピンクの色を出すとさいに、この「陶試紅」がよく用いられます。
上から見ると花びらのカタチ。やさしい和風のピンク色。春の桜の季節をグッと盛り上げてくれる抹茶碗といえるでしょう。
商品詳細は、以下の通りとなります。
商品名:色絵桜 抹茶茶碗
作者: 山口剛(やまぐち・つよし)作
価格:7,612円(税込)
口径:12cm
高さ:8cm
重さ:240g
箱:化粧箱(紙箱)付
「色絵桜 抹茶茶碗 剛作」は、以下のサイトよりご購入いただけます。
4.紅粉引さくら抹茶茶碗
紅粉引き さくら抹茶茶碗 亨作
楽天市場 松韻堂 より引用
- 紅粉引桜 抹茶茶碗 亨作
- 5,800円(税込)
ひきつづきご紹介するのは、小倉亨(おぐら・とおる)作の「紅粉引桜(べにこひき・さくら) 抹茶茶碗」です。
桜の可愛らしさと大人の落ち着いた色調の抹茶碗となります。
少しグレーがかった薄いピンクの地の色に、白い桜がバランスよく描かれています。
ピンク色と肌色の中間という感じの地の色に、白い桜が春を演出。その桜の「シベ」も金で一本一本丁寧に描かれています。
紅粉引き さくら抹茶茶碗 亨作
楽天市場 松韻堂 より引用
それらが相まって、可愛いというよりも大人っぽい色調の桜の茶碗となっています。
また、上の写真の茶碗の高台(足元)を見て下さい。
少し赤茶色になっているのがお分かりだと思います。この茶碗の素材の土には赤土が含まれているからです。
赤土には鉄分が含まれています。この鉄分により鮮やかなピンクの発色となります。
このピンクの色あいを「御本手」(ごほんて)と呼びます。
以下の写真は、私が作ったものですが、
白い土でのピンクの発色と、赤土(鉄分)が含まれた土との色のちがいを示したものとなります。
白土の御本手の色
![](https://hseito.com/wp-content/uploads/2020/03/62010755132589fe2ee130d8b5dfa449.jpg)
白い土の素材だけの「御本手」の色はうっすらとしたピンク色。
赤土が混ざった土の御本手の色
![](https://hseito.com/wp-content/uploads/2020/03/60c360c48aa27de137a8a70c8378cd3b.jpg)
白土に赤土を混ぜると、濃い色の「御本手」の色となります。
以上のような理由から、 「紅粉引き さくら抹茶茶碗」 の御本手(ごほんて)の色合いは、写真で見るよりも濃く鮮やかな色となっています。
以下の写真は、「紅粉引き さくら抹茶茶碗」の御本手の色あいです。
紅粉引き さくら抹茶茶碗
楽天市場 松韻堂 より引用
この写真以上に、御本手(ごほんて)のピンク色は、濃くて鮮やかなピンク色となっています。
また、内側には、こぼれる花ビラも美しく散っています。
桜の季節にお茶をいただくのが、いっそう楽しくなるでしょう。
商品詳細は、以下のようになります。
商品名: 紅粉引さくら 抹茶茶碗
作者:小倉亨作
価格:5,800円(税込)
口径:12.5cm
高さ:7.7cm
重さ:260g
箱:化粧箱付き(紙箱)
「紅粉引さくら 抹茶茶碗」は、以下のサイトよりご購入いただけます。
5.抹茶茶碗 彩りさくら
抹茶茶碗 彩りさくら 俊山作
楽天市場 松韻堂 より引用
- 抹茶茶碗 彩りさくら 俊山作
- 6,600円(税込)
五番めのご紹介は、数々の受賞歴をもつ名工「森俊山」(もり・しゅんざん)作の「抹茶碗 彩りさくら」です。
ベージュ色に近い地の色に、桜の花が繊細に手描きでかかれた抹茶碗となります。
いっけん賑やかでハデな印象をもたせます。
しかし、落ち着いたやさしい雰囲気で飽きがこない抹茶碗となっております。
この茶碗も、2番めにご紹介した「色絵桜 抹茶茶碗」と同じく「下絵」で描かれたものだからです。
「下絵」とは、うわぐすりの下に絵が描かれているものです。
絵がうわぐすりの下にあるため、幻想的にぼんやりと絵が浮かびあがるのです。
また、うすいグレーがかったベージュに、ところどころに「御本手」(ごほんて)のピンク色の模様が混じります。
そこに、しだれ桜が優しい色で描かれています。
以下の写真は、「抹茶茶碗 彩りさくら」の御本手のピンクと絵柄です。
抹茶茶碗 彩りさくら 俊山作
楽天市場 松韻堂 より引用
このピンク色の輪は「御本手」(ごほんて)と呼ばれるもの。 陶器の素材である土の中の「鉄分」による発色です。
抹茶碗を多く作られる産地の「萩焼」(はぎやき)や「京焼・清水焼」によく見られるものとなります。
また、茶碗の作者は、京焼の名工「森俊山」(もり・しゅんざん)。
森さんは、数々の受賞歴をほこる陶芸作家となります。
「京都府工美展 優秀賞」や「日工会展 日工会会員賞」をはじめとする多くの受賞歴をほこる京焼きの名工です。
日工会(にっこうかい)とは、日展(にってん)の美術工芸部門の下部組織のこととなります。
日展とは、「日本展覧会」の略称です。
日展は、日本の美術工芸における日本最大級の公募展となります。日本全国から応募される工芸作品をきびしい審査のうえ作品を選び陳列される展覧会です。
「日展」につきましては、以下のリンクをご確認ください。
じつは、私ごとで恐縮ですが、このページの筆者である私の妻(陶芸家)も、この「森俊山」さんの工房で絵付け修行をさせていただいておりました。
やさしく浮かびあがる下絵の桜。「抹茶茶碗 彩りさくら」の商品詳細は、以下のようになっております。
商品名:抹茶茶碗 彩りさくら
作者: 森俊山(もり・しゅんざん)作
価格:6,600円(税込)
口径:12.5cm
高さ:7.7cm
重さ:250g
箱:化粧箱(紙箱)付
「抹茶茶碗 彩り さくら 」は、以下のサイトよりご購入いただけます。
6.花かがり抹茶茶碗 八幡
花かがり抹茶茶碗 八幡作
楽天市場 松韻堂 より引用
- 花がかり抹茶茶碗 八幡作
- 価格11,000円
6番めにご紹介いたしますのは、「花がかり抹茶茶碗」。
ザックリとした黒い土に、白と薄いピンク桜の花が絵付けされた茶碗です。
黒い土の上に、ところどころに勢いのあるタッチで「白い泥」が塗られています。その上に白と薄いピンク色の桜の色がキレイに映えています。
また、この茶碗は、桜の絵柄の量とバランスがとても良いです。
茶碗の正面と内側に、多すぎず少なすぎず桜の花が絵付けがされています。
適度な黒地の余白のバランスがとても良いです。
以下の写真は、「花かがり抹茶茶碗」の絵柄のバランスです。
花かがり抹茶茶碗 八幡作
楽天市場 松韻堂 より引用
写真のように、「夜桜」を眺めているような美しい風景となっています。
また、茶碗の重さは「180グラム」。かなり軽めなものです。
これは、素材の土がザックリとした気泡の多い土が使われているためです。土に空気が多く入っているため、見たより軽いものとなります。
この茶碗もザックリとした土のため、茶碗表面に少しザラつきがあります。
そのため、茶をたてるさいに、「茶せんがシャカシャカ」となります。クリーミーな泡立ちをおいしい抹茶をたてることができるでしょう。
バランスの良い桜の絵柄、そして、クリーミーなお茶のたてやすさ。そういった点でオススメの抹茶碗となります。
「花がかり抹茶茶碗」の商品詳細は、以下の通りです。
商品名:花がかり抹茶茶碗
作者:八幡窯作
価格:1,1000円(税込)
サイズ:直径12cm 高さ8cm
重さ:180g
箱:木箱付
「花がかり抹茶茶碗」は、以下のサイトよりご購入いただけます。
7.色絵琳派桜抹茶茶碗 善昇
色絵 琳派桜 抹茶茶碗 善昇作
楽天市場 松韻堂 より引用
- 色絵 琳派桜 抹茶茶碗 善昇作
- 20,900円(税込)
さいごに、ご紹介するのは「色絵 琳派桜(りんぱさくら)抹茶茶碗 善昇作(ぜんしょうさく)」です。
ドッシリとした重厚な桜の幹に、白い桜がていねいに繊細に描かれた茶碗となります。
そのため、「威厳と可憐さ」をそなえた茶碗といえるでしょう。
「琳派」(りんぱ)とは、安土桃山時代(約400年前)に始まった日本美術のひとつの流れです。
琳派の「琳」の字は、琳派の絵師である「尾形光琳」(おがた・こうりん)の「琳」からきています。
この琳派の絵師たちは、流派にとらわれずに、自分が求める美しい絵を自由にえがきました。
そのため琳派の絵の特長は、「誰が見ても美しい」と感じられることです。
琳派について詳しくは、以下のサイトをご覧ください。
話をもどしましょう。
この「色絵 琳派桜 抹茶茶碗」は、琳派の作風を忠実に写しとった茶碗です。
力強い桜の幹と枝ぶり。
そこから、出はじめの葉を赤茶の色づけし、葉のみゃくを金でていねいに描いてあります。
そして、落ち着いた印象の白い桜。
以下の画像は、「色絵 琳派桜 抹茶茶碗」の丁寧な絵柄のものです。
色絵 琳派桜 抹茶茶碗 善昇作
楽天市場 松韻堂 より引用
さらに、茶碗の全体に金粉をまぶして「華やかさ」を演出しています。
しかし、その豪華さのなかにも、山桜のような静かで厳かな印象をあたえます。
価格は、20,900円(税込)と高価なものです。
しかし、琳派の絵の写しを得意とする「京焼の名工・山岡善昇」(やまおか・ぜんしょう)さんの特長がきわだつ作品となっています。
受賞歴も豊富で、「京都市長賞」や「京都府知事賞」などの栄冠に輝いておられます。
ですので、この価格であっても、「極上の一碗」といえるでしょう。
商品詳細は、以下のようになっています。
商品名:抹茶茶碗 色絵 琳派桜
作者:山岡善昇作
価格:20,900円(税込)
口径12.5cm
高さ:7.7cm
重さ:250g
箱:木箱付
「 抹茶茶碗 色絵 琳派桜」は、以下のサイトよりご購入いただけます。
まとめ
今回は、プロの清水焼の陶芸家から見ても、本当に良いと思える「桜の抹茶碗」を紹介させていただきました。
あらためて感じたことは、それぞれの職人さん作家さんの「ものづくりの工夫」です。
抹茶碗ひとつをとっても、職人の手によって細部にわたって作りこまれています。
そして、抹茶碗を選ぶときに、もっとも大切にしてほしいことは、「あなたの好み」と「お茶のたてやすさ」と私は思っております。
なぜなら、抹茶碗の最大の目的は、
お茶を美味しくいただくこと
だからです。
あなたの「お気にりの抹茶碗」で、「美味しいお茶」をいただく。それは「何よりも豊かな時間」となるでしょう。
お茶を美味しくいただくための抹茶碗の選び方につきましては、以下の記事もご参照ください。
また、この記事を書いている「京都はしもと製陶所」では、「橋本城岳」(はしもと・じょうがく)のブランドで抹茶碗を作っております。
お客さまにとって使いやすい抹茶碗づくりを心がけています。
「京都はしもと製陶所」では、清水焼の熟練の職人が、全ての工程を手作りでていねいに仕上げております。
また、工房からの直売となっているため、高品質な抹茶碗でも低価格でご購入いただけます。
よろしければ、「京都はしもと製陶所サイト」の橋本城岳作の抹茶碗のページも、ぜひご覧になってください。